「普通のOLだった私がカンボジアで養豚場経営者に!?」— 元「養豚ガール」山田史織氏インタビュー

 

カンボジアのシェムリアップから車で40分程のところにある養豚場。経営者は日本人の女性だという。2年前、英語も話せない、養豚経験ゼロのフツーのOLがカンボジアの養豚業界に飛び込んだ。いま、循環型豚舎の確立に挑戦し、カンボジアの若者への貢献を願う彼女を支える思いとはなんだったのだろうか。通称“養豚ガール”、山田史織さんにお話しを伺う。

 

結局は行動したもん勝ち!失敗を恐れずに飛び込んだカンボジア

 

ーカンボジアで働くまでの経緯を教えてください。

初めは日本で5年間、ごく普通のOLとして働いていていました。忙しくて月に5日しか家に帰れないこともありましたが、仕事が大好きでずっと働いていました。そんな中で突然、好きな人が上海に転勤になったんです。そこで私、勢いだけで仕事を辞めて、上海まで彼を追いかけていったんです。
でも結局上海で失恋をして日本に帰って来たのですが、やることもなくて家に引きこもってたんです。そんな時たまたま前職の時に知り合った方からカンボジアで仕事をしてみないかというお話を頂きました。

それ以前にも一度、旅行でカンボジアに行ったことはあったのですが、改めて「働く」という意識を持ってカンボジアに行ってみました。そうしたら、日本では経験できないことがたくさんあるということに気が付いて。もう思い切ってカンボジアで働くことに決めました!

実は当時、英語に苦手意識があって、一度語学留学してから海外で働こうかと考えていました。でも、いざカンボジアに行ってみたら、みんなめちゃくちゃな文法でも気にせず英語を話すんですよね。日本人は文法や発音が正しくないと英語が話せませんという感覚ですが、カンボジア人は文法や発音が適当でも気にません。そんな彼らを見て、「正しい英語が喋れること=英語を使って仕事をすること」ではないし、正しくなくてもどんどん使うことが重要なんだと思いました。

英語に対する不安が薄れたのと同時に、カンボジアはビザもまだ規制がないということも分かりました。それを知って、「今すぐ働け」って言われているような気がして。背中を押されたんです。じゃあ私は働きながら英語の勉強すればいいんだと思って、もう飛び込んじゃったんですよね。
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ーその時点でカンボジアに飛び込むことを決心するって普通はなかなかできないと思うんですが、山田さんにはそれが可能だったのはなぜでしょうか?

カンボジアで今一緒に働いているボスに言われた言葉がきっかけになりました。「日本人には、小さいことを考えすぎてなかなか行動に踏み出せない人が多い。海外に行きたいと思ってても実際に行く人は少ない。でも、結局は行動したもん勝ちだよ。成功しても失敗してもどっちにしても学びがある。どうなるかなんて誰もわからないけど、本当に来たいんだったら来たほうがいいと思う。」その言葉に妙に納得して、気づいたらもうカンボジアにいました。(笑)

 

ーカンボジアという国に加えて、「養豚場で働く」というのも一般的には踏切りにくい部分ですよね。抵抗はなかったんでしょうか?

正直、最初はまったくできる気がしませんでした。養豚の知識なんて全っく持っていなくて、養豚って言われても何すればいいんだというレベルでしたね。(笑) でも食という分野は絶対これからも大きくなっていく問題だと思っていたので関心がありました。カンボジアはまだ貧しいので、今はある程度裕福な人でないとお肉を食べられないんですね。でもASEAN地域が発達していき、少しずつ裕福になっていくと、魚よりもお肉、鶏肉よりも豚肉、豚肉よりも牛肉、というように食の選択肢が広がっていくと思います。マーケットは確実に拡大します。その生産者という仕事はすごく大事だし、ビジネスチャンスもあって、面白い仕事だと感じました。

 

養豚場経営って一体どんなシゴト?


ー今、養豚場ではどんなお仕事をされているのですか?

私が来る一年前位にできた養豚場に飛び込む形でした。当時、既に現地人スタッフを雇って事業として回っている状態ではありました。日本で豚を育てる時、餌のタンパク質やカルシウムの栄養の割合からお肉ができる量を数値的にある程度予想できます。一方、カンボジアにはデータ管理という意識がなく、そこに私が入る価値があると思っています。データを取って数値化し、それを基に改善をしたり、さらには運営の仕組みを作ることもします。

yamada05実は今、循環型の豚舎を目指しています。これは、豚舎の中に一つの生態系が成り立っているイメージです。まず、豚の糞尿を分解する微生物を、ため池にいれて糞尿を処理します。そこから堆肥ができるので、その堆肥を使い植物を育てると植物に乳酸菌のような良い菌が入り、病気に強くなります。その植物を豚の餌にし、健康な豚を育てるというモデルです。こうしてより元気な美味しい豚が育てば豚の売値もあがります。

また、これは直接的に養豚と関わる部分であはりませんが、事業の運営にも携わっています。日本では、PDCA(Plan Do Check Action)というサイクルによって事業を向上させようという意識が根付いていますが、カンボジアでは、直接利益を生まない取組は理解されなません。日本人としては当たり前のことでもカンボジア人からすると訳がわからないんですよね、何でそんなことをわざわざしなきゃいけないのと。日本の当然が通じない中でやっていくのは難しいし、時間がかかります。

これからカンボジアではどんどん新しいビジネスが増えると思いますが、現地の若者はチャンスを掴めるか掴めないかによって結果が二つに分かれてしまう。そんな中で、今係わっている子たちが、この養豚場で働くことで今後の彼らの武器になるものを一つでも多く得られるといいなと思います。この会社で、チャンスを掴むための素質を養い、将来ステップアップしてほしいと願っています。

 

ー山田さんは養豚場経営の他に、カンボジアでスタディツアーの開催もされているそうですね!参加者は社会人の方が多いということなのですが、どんな方が多いのですか?

参加者の方、特に社会人の方には本当に自分のやりたいことって何だろうと漠然と悩んでいる方が多いです。そういう疑問にぶつかったときは、立ち止まって考えているより自分の足を動かして世界を見て、いろんな人と出会うべきだと思っています。その中で自分の心の動きに気が付くものじゃないでしょうか。

海外に出ることの意義の一つは、外に出るからこそ逆に日本でできる事の多さにに気付けて、当たり前だと思っていた環境を見直せる事だと思います。カンボジアには、生まれながらにしてチャンスが無い子がたくさんいます。一方私たちは、日本に生まれて、日本のパスポートがあるというだけで、カンボジアに生まれた彼らより苦労なく生きられ、お金も稼げる。もちろんそれぞれの国に問題や大変なことはありますが、日本に生まれたからできることって本当にたくさんあるんですよ。スタディツアーの参加者からは「それをやるかやらないかは結局自分なんだ」と気付けたという声が多く聞かれます。そうして新たな一歩を踏み出すきっかけを作れるのは嬉しいですね。

 

ー山田さんは「養豚ガール」と呼ばれることに関してはいかがですか?このニックネームだと永遠に少女ってことになってしまいますが(笑)

もうガールっていう歳じゃないのになって思っています。(笑) 気づいたら養豚ガールって名前ができていて…。自分から名乗ることはしていませんが、いつまでこれでいくんだろとは思っています。少年隊みたいな感じでずっと使われるんですかね(笑)

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先が見えない人生もアリ?東南アジアにはオモシロさが転がっている


ー山田さんの素敵な笑顔と養豚ガールというニックネームのイメージはすごく合っていると思います!(笑)では、最後に若者へのメッセージをお願いします。

私はカンボジアに飛び込んでみて、そこから一気に景色が、見えるものが変わりました。東南アジアにはいっぱいチャンスが溢れています。一歩踏み出してそれがどうなるかは全然わからないけど、それが逆に楽しいんじゃないかと思います。日本にいると、ある程度将来が見えるじゃないですか。一度きりの人生ですから、全く予想のつかない環境に身を置いてみるのもアリじゃないかな。変化を楽しめる人には、本当に楽しい環境です。国全体が一気に成長し、いろんな国の人が集まっている。東南アジアはそういうエキサイティングな場所です。

同時に、忘れてほしくないのはカンボジアにはすごく優秀な人材がいて、彼らが競争相手になるということです。カンボジア人もそうですが、中国や韓国などいろいろな国から集まってきています。レベルはどうであれ、3カ国語話せる人もざらにいます。その中で、委縮せずに成長するために頑張ろう、と思える日本人の若者が増えると嬉しいですね。不安や失敗の可能性を考えるだけじゃなく、自分の足で動く、目で見る、そして英語を使ってみる。本当にこれが一歩目なんです。厳しい面も理解した上で、東南アジアで働くことの魅力を知ることから始めてもらえたらと思います。

 

 

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『カンボジアで人生観が変わる1週間を!カンボジアKAERUスクール』
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【プロフィール】
ブログ|『これからの働き方』
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Interviewed in June 2013

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ABOUTこの記事をかいた人

中島由莉

上智大学理工学部情報理工学科4年。3年の冬にインドに行ったことをきっかけに海外に出ることを決意。4年次を休学して現在ベトナムホーチミンでインターン真っ最中。ベトナムを中心に東南アジアの面白さを発信していきたいです!