アジアに行くと特に気になることがあります。それは宗教について。日本も仏教国ではあるけれど、私は熱心な仏教徒ではないし、何かを信念に行動をしているかと言われるとそうでもないのが正直なところ。

シンガポールは多民族国家なので、様々な宗教が混在します。マレー系のイスラム教、インド系のヒンドゥー教、中華系の仏教が主な宗教です。各コミュニティエリアでは、日常的に寺院での参拝や祈りの儀式が行われています。

今年の1月は旧正月もあり、街は早くから賑わっていました。そんな中、リトル・インディアが賑わいを増しています。ヒンドゥー教ならではの貴重な祭事が行われているようです。何やらおいしそうな香りもしてきました。

早速、潜入してみましょう!

*一部に過激な写真がありますので、お気をつけ下さい。

 

「タイプ―サム」の苦行は、息を飲むほどの迫力&激痛?!

リトル・インディアは、ダウンダウンの北東部に位置します。その名の通り、インド人コミュニティエリアです。イギリスの植民地時代、南インドからの移住者がこの地に定住して、伝統と文化を今でも守り続けています。街にはスパイスの香りが漂い、様々な場所からインド音楽が流れています。

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(街はショップハウスと呼ばれる昔ながらの建物が軒を連ねる)

今回、ヒンドゥー教徒の芯の強さ、神への忠誠心を垣間見ることができました。タイプーサム(Thaipusam)は、新暦の1月中旬に行われる奇祭で、2014年は1月17日でした。“タイ”は、タミル暦の10月で、“プーサム”は幸福の星を意味します。この時期に
あたる満月の夜に、ムルガ神(象の頭を持つガネーシャの弟)に祈りを捧げることを命じたのが、この祭りの由来とされています(諸説あり)。

信者は1か月ほど前から、菜食主義を維持して禁酒、禁欲して精神を整えます。すべての欲から解放された信者は、朝から神輿のような存在の「カバディ」を体の表皮に針で括りつけたり、鉄串を頬に貫通させたりして、約4.5kmの道のりを行進するのです。

あまりにも衝撃的でしたが、真剣な眼差しで前を向いて歩く姿は、凛としていて胸が熱くなりました。信者の傍らには、親族が応援隊となって同行し、水分補給をしたり、音楽を奏でたりして、ゴールまで見守り続けます。リトル・インディアエリアを抜けて、車や人が行き交う一般道を歩きますので、地元の方はもちろん、観光客の視線も集中します。たまに泣き出す子供もいるくらいです。

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(カバディ装飾のモチーフは孔雀や槍。ムルガ神に関わりを持つアイテムだ)

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(時折浮かべる苦痛な表情が印象的な青年)

ゴールの寺院では、スッキリした顔つきの人もいれば、疲労困憊している人も。それでも、ひとつの苦行をやり遂げた達成感はすごいものがあると思います。寺院を後にして道を歩いていたら、針を抜いた形跡のある方たちを多く見ましたが、みなさん仲間と笑いながら普通に歩いていました。時折、顔に血をにじませた方もいましたけどね。

タイプ―サムの情報を収集すると、「あまりにも過激な苦行から、本国インドではタイプ―サムは禁止となり、今ではシンガポールとマレーシアでのみこの光景を見ることができます。」というフレーズを必ずと言っていいほど目にします。しかし、ムルガ神の基盤である南インドのタミル・ナードゥ州やケララ州の一部の村では、ごく小規模ながらタイプ―サムが行われているそうです。

 

苦行を横目にしっかり“炊き出し”いただきま~す

うっかり忘れるところでした!!アセナビでの私の使命は「ASEANの食をみなさんに知ってもらう」ことでした。

今回のタイプ―サムの沿道には、所々で炊き出しがありました。リトル・インディアで写真を撮りながら歩いていると、長蛇の列が!!スパイスのとっても良い香りがするし、道端では多くの方が何かを食べています。

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(早朝から準備された寸胴鍋の中身はあっという間になくなっていく)

しばらく様子をみていると、インド人はもちろん、マレー系や中華系の方も並んで配給を受けています。観光客はいても列に並んでいるのは欧州の方で、この時は日本人の姿はありませんでしたが、スパイスの香りが私を呼んでいる!!さっそくおじちゃんからお皿をもらいました。鍋に近づけばスパイスの香りがさらにふんわり、そして刺激的に私の鼻腔をくすぐります。バナナとマサララッシー(スパイスヨーグルトドリンク)もゲットしました。

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(炊き出しの料理や飲み物はすべて無料で配給される)

鮮やかな赤が印象的なトマトライスではありませんか。インドの長粒米(インディカ米)がまたいい感じです。ちょっぴり酸味のあるトマトライスにひよこ豆(チョラ)カリーが添えられて、いつまでも香っていたいくらい。豆のほっこり感に癒されますね。辛さはほとんどなく、クミンやコリアンダーの香りがとっても爽やかです。マサララッシーは、塩を使っているので甘みは無し。と~っても塩っ気が強くて何ともいえない複雑なスパイスの味わいでした。暑さでだるくなった体も一気にシャキッと引き締まる感じです。

周りを見ても、手食をしている人はほとんどいませんでした。スプーンがついていたこともあるけど、野外なのですぐに手も洗えないし、ここは臨機応変に私もスプーンでいただきます。実は飲み物はラッシー以外にもあったけど、駄菓子屋で売っているような粉末パウダーの鮮やかなオレンジジュースって感じだったので、カリーとの相性がどうも馴染めず、食後にいただきました。これもアセアンならではの味ですね。

今回はタイプ―サムと並行して、インドの祭事がもうひとつ同時開催でした。これまたインドならではの実りある豊かな祭事で、炊き出しもまだまだ続きます。

おかげで一気に日焼けもバッチリ!冬の日本にはそぐわない姿に一瞬焦りましたが、それも亜熱帯の国を吸収した証です。祭事の模様は次回またリポートいたします。