名門サッカー部で挫折した私が、大手証券会社を通じてフィリピンに滞在する理由  野村證券 千葉健太氏

名門サッカー部を経て、野村證券に入社。入社4年目にして、成績優秀社員のみが選出対象となる人材育成制度「海外修練制度」にて、マニラへ派遣される。一見、華々しいキャリアに思われるが、その裏には学生時代の挫折と並々ならぬ努力があった。「ゼロから付加価値を生み出す人材」へ変化・成長することを目的として活動中の千葉氏。その魅力に迫りました。

 

《プロフィール|千葉 健太氏》

鹿島学園高等学校を経て、神奈川大学経済学部卒。2014年野村證券株式会社へ入社、個人富裕層及び未上場企業を中心に資産運用、税金対策、決算対策といったコンサルティング業務に従事。野村證券の人材育成制度である「海外修練制度」で2017年9月よりマニラに滞在。

 

 学歴コンプレックスから学業に専念した大学時代

ー 「名門サッカー部を経て、大手証券会社に入社」と聞くと文武両道なイメージがあるのですが、どういった大学生活を送られていたのですか?

 とにかく学歴にコンプレックスがありました。高校時代は、寮に入りサッカーに打ち込んでいた(全国大会常連の名門鹿島学園)一方で、レギュラーに入れず、挫折を経験。学力に自信もなく、自分の将来に不安を抱いていました。ただ、スポーツは全力でやってきたため、何かに全力で打ち込むことが自分の自信につながることは理解していました。そこで、大学でも何かをやり遂げたいと考えていました。

 

ー では、サッカー以外の新しい事に挑戦されたのでしょうか?

 はい。学業に専念しました。当時文武両道の人材には敵わないと思っていたので、他人と差別化する必要があると考えていたのです。高校サッカー部で一緒にプレーしていた先輩が学業に専念し、大学生活を充実している姿に影響を受けたのもあって、大学2年時に一念発起しました。ほぼ全ての授業を最前列で受けるなど、ゼミと講義に大半の時間を費やし、結果として経済学部の単年成績優秀賞と優秀卒論賞を受賞することが出来て、他大学の学生にも負けないという揺るぎない自信がつきました。

「自分が商品」の仕事

ー その自信が就職活動の成功にも繋がっているのですね。どういった軸で就活されていたのでしょうか?

 そうですね。「自分が商品」の仕事を企業選びのテーマにしていました。これは自身の能力、人間性で勝負できるという意味。もしモノを売る仕事であれば、その商品が良ければ誰がやっても売れてしまいますが、「自分が商品」の仕事であればそうはいかない。様々な業種・企業を見た結果、働きたいと強く思った企業は金融、商社、コンサルにしぼられていました。結果、大手証券会社3社から内定をいただき、最終的には日本に留まらず、海外でのプレゼンス向上に精力的な野村證券に惹かれ、入社を決めました。

 

ー 「自分が商品」の仕事とおっしゃっていましたが、実際にそのように感じられた瞬間はありますか?

はい。私は入社後、福島県の郡山支店に配属となり、個人富裕層及び未上場企業を中心に資産運用や税金対策といったコンサルティング業務に従事しました。 命の次に大切なお金を預けていただくということは、私がお客様の役に立ちたいと心の底から本気で思う気持ちと、お客様が私の専門性だけでなく人間力も認めてくださらなければ起こり得ないです。ですから仕事の出来は私の人間性・能力に左右されると日頃から感じています。

 

ー やりがいや証券業ならではの魅力がありましたら教えていただけますか?

 経営者や医者といった、社会的にステータスの高い様々な業界の方々の価値観に触れられることは大きな魅力の1つです。例えば、経営者は従業員の家族の命まで背負い、命がけで経営をし、これまで多くの挫折や苦悩を乗り越えてきています。この年齢でそういった人たちに月に何十人もお会いし、人生の価値観や信条を学ぶことが出来る。これは証券業でしか得られない財産だと思います。ある大手のお客様は、ご子息と同い年の私に数億単位で資産運用を任せてくださり、私の転勤が決まった際には「折角だから偉くなってくれよ」と言って送別会を開いてくれました。このお客様が私をビジネスマンとして信頼してくださり、自分を成長させてくれたと思うと、感謝の気持ちで涙が止まりませんでした。涙が出るくらい仕事に打ち込めるというのは本当に幸せなことですし、こういった経験ができるのはこの上ないやりがいだと感じています。

 

 学生時代の衝撃から自らマニラへの派遣を志願

ー それから、現在。フィリピンに行かれた経緯はどういったものがあったのでしょうか?

 弊社の人材育成制度である「海外修練制度」の研修社員に選出してもらったことがきっかけです。当制度は弊社が「アジアに立脚したグローバル金融サービス・グループ」として、持続的な成長を実現するために必要な人材を育成することを目的としたものです。毎年入社4年目の社員を中心に15名程が選出され、アジアを中心とする各都市に約1年派遣されます。留学制度とは異なり、与えられたプログラムはなく、社員自らが行き先とテーマを決めるのが特徴です。したがって、主体的に行動すること以外に制約はありません。そこで私はマニラへ派遣してもらうことを強く希望しました。

 

ー なぜ、マニラを選ばれたのでしょうか?

 理由は学生時代にバックパッカーで東南アジアを回っている際に、マニラを訪れて衝撃を受けたからです。そこでは高層ビルの真隣にバラックが立ち並び、大勢の子どもたちが大笑いしながら裸足で遊び回っている光景を目の当たりにしました。他のアジアの国々とは明らかに異質で、貧しいはずなのに日本より遥かに活気を感じ、皆幸せそうでした。それを見て、当時学生だった自分がいかに小さなことで悩んでいたかに気付かされました。その様な気付きを与えてくれたフィリピンに何か役に立つことがしたいという想いを当時より持っていたことが大きな理由です。渡航後は、太平洋戦争後に、キリノ大統領が日本戦犯に特赦を与えた事実を知り、日本人としてもっと知りたい、貢献したいと思っています。

 

「ゼロから付加価値を生み出す人材」へ   

ー フィリピンではどのように活動されているのでしょうか?

マニラに来てからはスタートアップIT企業でインターンシップをさせていただき、Web制作、Webデザイン、アプリ開発などについて学びました。今日では常識は常に変化し、その変化に対応出来る人々こそが果実を得る時代になっています。金融業界を取り巻く環境も同じように変化しており、本質を捉え、変化に対応していくためには、既存のやり方や固定概念から時には脱却をしなければなりません。しかし、そのスピードが遅いと感じることがしばしばあります。そのため、変化の目まぐるしいIT業界に身を置き、自身が新しい観点を身に付け、「ゼロから付加価値を生み出す人材」へと変化・成長することを活動の目的としています。現在はインターンシップをさせていただいた同企業がパートナーになって下さり、「フィリピンの若者にITを通じて活躍の機会を提供する」というミッションの下、フィリピン人の若者にフォーカスしたWebメディアを共同で制作中です。

ー 帰国後、中長期的な目標がありましたらお教えください。

 金融に携わるスケールの大きなビジネスをより早いスピードで出来るようになりたいと考えています。そのために常に新しい視点を持ち、研鑽を怠らないようにしていきたい。私は学歴や語学力に関係なく成果や定性を評価し、このようなチャンスを与えてくれる野村證券が大好きですし、本当にありがたいと思っています。ただ、決して自身の能力のお陰で海外派遣のチャンスをもらえたわけではありません。入社したての私に情熱を注ぎ、1人のビジネスマンに育ててくれた社内の上司・先輩。私を信用し、資産を預けてくださった多くのお客様。このような多くの人たちの存在があったからこそ今の私があると考えています。この感謝の気持ちを胸に、フィリピンで目に見える結果を残し、自身が圧倒的に成長することで組織に還元していきたいと思います。

 

「学生時代は遊ぶべき」は間違っている

ー 僕個人としては、この記事を学生にも読んでいただきたいと考えています。今を生きる学生に向けて、アドバイスがあればお願い出来ますか?

 とにかく学問に励むべきだと思います。よく大学の講義に意味がないと思っている学生がいますが、それは自分の能力が低いからです。スティーブ・ジョブスはカリグラフィの授業で学んだことを組み込み、美しいフォントを持った初めてのコンピュータ、マッキントシュを生み出しました。イーロン・マスクは何か新しいことをする時に物理学のアプローチを使い、物事を本質的な真理まで煮詰めてから推論を行って、規格外の新しいビジネスを次々生み出しています。すなわち、学問に価値を見いだせるかどうかは本人の気付き次第ということです。たった1つの事象も、それぞれの学問を通せば全く異なる視点でそれを捉えることができます。こんなにも自身の見聞を深められる恵まれた期間は、学生時代以外にはないはずです。アルバイトで稼げる目の前の数万円よりも、仕事を通じて生涯の所得に数億単位の差が出ることを認識して学生時代に何をすべきか考えるべきです。そうすれば人生の選択肢が今より増え、世の中で活躍出来るとはずと私は信じています

 

  • 補足

今インタビューは、ライターの中山がフィリピン留学中、より多くの学生に社会人の「多様なキャリア」を発信することで、人生の選択肢を広げる手助けがしたいと始めた企画「ASEANで私が働く理由・マニラで働く社会人特集(仮)」の先駆けとなるインタビュー記事であるため、学生向けに構成されています。

 

 




ABOUTこの記事をかいた人

中山 楽人

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