あらゆるLIFEをFULLにするためアジアから革進し続ける!LIFULL MEDIA INDONESIA COO 戸部亮介さん

日本だけでなく世界中の人々の暮らしをより良くするため、現在LIFULL HOME’Sで有名なLIFULLのインドネシア法人、LIFULL MEDIA INDONESIAの代表として活動している戸部亮介さん。新卒では大手インターネット広告代理店に入社し、子会社での北京事務所代表などを務めてきた。そんな戸部さんにこれまでの経験や経営者としてどんなことを考えて日々活動されているのかを伺った。

≪プロフィール|戸部亮介さん≫

早稲田大学政治経済学部卒業後、2006年に株式会社サイバーエージェントに入社。入社後に子会社のマイクロアドの立ち上げに参画し、2012年より北京事務所代表・中国におけるアドテクノロジーの商品の責任者を2年半経験。2015年1月に株式会社LIFULLに転職し、国際事業部や経営企画に従事。グループ各社・各事業の事業育成や新規事業開発・投資管理、海外開発拠点設立を企画・推進した。2016年9月よりインドネシア法人であるPT.LIFULL MEDIA INDONESIAにてCOO/Directorとして、現地法人の経営を行っている。

 

インドネシアで4つの事業を運営

ー LIFULL MEDIA INDONESIAについて教えてください。

LIFULL MEDIA INDONESIAは掲載物件数日本No.1の不動産・住宅情報サイトLIFULL HOME’Sなどを展開する株式会社LIFULLの海外グループ会社としてインドネシアに6年前に設立された会社です。

 

現在はインドネシア人向けの不動産・住宅情報サイト「LIFULL Rumah」、ジャカルタに駐在する日本人向けの不動産コンサルティングサービス「LIFULL Concierge」、お菓子や化粧品のサンプリング情報サイト「LIFULL Produk」、リフォームや内装のマッチングサイト「LIFULL Jasa」の4つの事業を運営しています。

 

ー 4つも事業を運営されているんですね。経営者として戸部さんはどんなことをされているのですか。

会社全体としての戦略を立てたり、各事業を伸ばすために何をすべきかを考えて実行しています。今社員が約40人いるのですが、そうするとチームの間でいろんなことが起きるんですね。

チームの中に自分が入り、なぜその問題が起きているのかを一緒に考えて解決することもあるし、あとはインドネシアのマーケットの変化が激しいので、必要に応じて変化に対応した組織構造に組み替えるなど経営者として事業を伸ばすためにできることは何でもやっています。

 

ー これまで事業を伸ばすために行われたことの中で一番の変革は何でしたか。

1番大きかったことは2016年9月の着任時にすぐに、Web開発や運営の全てを内製化したことです。

2012年よりインドネシアで事業を展開しており、それまでは外注も多かったです。Web開発や運用におけるテクノロジーやノウハウを強みにしている以上、社内で開発などのPDCAサイクルをより速く行えるようにすることで、変化の激しいインドネシアでの成長を加速できる。このために全ての内製化を試みました。

結果として、施策のスピードは格段に上がりましたし、何より一番大きかったのは各社員のコミットメントがより高くなったこと。「自分たちのプロダクトだからこそ、もっとプロダクトをよりよくして、お客様にいいものを届けたい。」多くの社員からどんどん提案がくるなどより主体的に仕事に取り組むようになりました。そのおかげで業績も拡大しています。

 

これまでスキルや経験、実績を積み重ねてきたからこその中国駐在

ー 戸部さんのこれまでのキャリアについて伺いたいと思います。新卒ではサイバーエージェントに入社されていますよね。きっかけについて教えてください。

就職活動をしている時に、広告の仕事がしたいと思って、広告代理店を中心に企業を見ていました。その中で、サイバーエージェントの説明会に行ったんですね。

今から13年程前で、まだインターネット広告費はTV・新聞・雑誌より少なく、スマホもなかったころです。説明会に行ってみると、代表の藤田さんが共に21世紀を代表する会社を作ろうと熱く私たちに語りかけていました。特に私が心に残ったのは「大きな会社に入るより、大きな会社を作る方がかっこいい」という言葉。その通りだなと強く思いました。


サイバーエージェントが主軸におくインターネットがこれから社会や経済を変えていくことを私はすごく感じていました。というのも早稲田大学時代に「人と情報の交差点」というコンセプトで早稲田大学の情報をWebサイトで発信するサークルに入っていました。

情報がインターネットを通じて多くの人々に拡散されていくのを間近で見ていた中でのサイバーエージェントの藤田さんのお話。インターネットこそが世界を大きく変革して時代を牽引していくことを確信し、インターネットを使って事業を伸ばしていける可能性を大いに秘めたサイバーエージェントに入社しました。

 

ー 入社してからはどんなことをされていたのですか?

入社してからはマイクロアドというアドテクノロジーの事業の立ち上げに参画し、1年後には事業成長と共にマイクロアドが子会社化することになり、そこに出向しました。


マイクロアドでは最初の6年間は広告代理店への営業をしていて、大手総合広告代理店・大手インターネット広告代理店にマイクロアドの商品を売っていました。そしてその後は中国に駐在することが決まり、約2年半北京事務所の代表などを務めていました。

(営業部時代の戸部さん)

 

ー 中国に駐在することになったのはどうしてですか?

海外での事業経験により、自分の可能性を広げたり、日本はもちろんですが海外でも挑戦して自分の価値を発揮していきたいと考えていたからです。

マイクロアドが海外進出を加速していくことを決めた中、当時の経営陣に行かせてくださいと積極的に主張し、北京赴任が決まりました。これまでの6年間必死にスキルや経験、実績を積み重ねてきたからこそ、行かせてもらえたのだなと思いました。


「海外に行きたい」という思いだけではダメで、地に足をつけて実績や経験を積み重ねて、「こいつに任せたら大丈夫だ」と信頼されることが大事です。

 

ー これまでスキルや経験、実績を必死に積み重ねた結果、信頼して北京事務所を任せてくださったのですね。中国ではどんなことをしていましたか?

北京事務所の代表として、日本で開発したアドテクノロジーの商品を中国企業に売っていました。当時の中国はアドテクノロジーの黎明期でしたが競争環境が激しく、特に競合は商品開発のスピードが高く、市場の変化・成長速度が段違いでした。そこで、収集したデータを軸にしたWebコンサルや広告代理事業も行い、独自の価値を発揮できるように心掛けていました。


中国でビジネスをして思ったことは、他の国でうまくいったからといって、中国でうまくいくとは限らないし、中国でうまくいったからといって、他の国でうまくいくとは限らない。それぞれの国でビジネス環境が大きく異なるので、技術などのベースがあったとしても、しっかりとその国にあった形で商品開発や営業を展開しないとなかなか上手くいかない。


中国に滞在していた2年半は、スキルを高めるだけではなく、人としての考え方も深まり、すごく大きな経験になりました。ホームではなく、アウェイな環境でどう戦うか、国籍が異なる従業員とのコミュニケーションの取り方、そして降りかかる困難から逃げずに真正面から立ち向かい戦ってきた経験は何事にも変えられません。ここで得た経験がなければ、その後のキャリアは全く違っていたと思います。

(北京駐在でのメンバーからの送別会)

 

ー 帰国後、LIFULLにはどうして転職しようと思ったのですか?

当時のLIFULLは世界最大級のアグリゲーションサイト「Trovit」*を約110億円で買収することを決めたタイミングでした。

あらゆる不を解消し、より良い世界を実現するために覚悟を持ってビジネスをしている。LIFULLの「あらゆるLIFEを、FULLに。」というビジョンのもと、一緒にそのビジョンを達成していきたい。そう思い、LIFULLに入社しました!

 

Trovit*:スペインに本社を置く世界最大級のアグリゲーションサイト。高い技術力によりバルセロナの一拠点のみで世界57ヵ国に展開し、各国で不動産・求人・中古車の検索サイトを展開している。(2018年1月現在)

 

ー LIFULLに入社してからのことについて教えてください。

転職してからは国際事業部に配属されTrovitのPMI(買収後の統合プロセス)に携わりました。入社1週間後にはTrovitオフィスのあるバルセロナにいました。Trovitはアジアやアフリカ地域に力を入れていたので、3ヶ月間くらい、スペインを行き来して、担当地域での売り上げを加速させるために何ができるかを考えていました。その後は、経営企画に配属されて、グループ各社の成長支援を行ったり、海外開発拠点設立のプロジェクト推進を行ったりしました。

 

ー 入社してからチャレンジングな環境で本当にさまざま活動されていますね。

 

会社が持つビジョンや行動規範を繰り返し伝えていくことが大事

ー では現在のインドネシアに来られたきっかけについて教えてください。

LIFULL MEDIA INDONESIAは当時立ち上げより4年半で、LIFULLにとって重要な拠点。前任者が退職・独立を決めた中、このチャンスをいただきました。

アジアで事業拠点としての法人のある国はインドネシアしかなく、人口2.5億人以上で経済成長率も高い。LIFULLの海外展開を推進する核となってインドネシアでの事業をさらに推進していきたい。そう考えて決意し、現在まで活動しています。

 

ー 現地での経営においてはどんなことを大事にされていますか。

LIFULLが掲げているビジョンや行動規範をしっかりと従業員に伝えていくことを大事にしています。そこから外れた行動をしていたらきちんと指摘をする。ビジョンや行動規範を意識することで、日々の仕事に落とし込まれ、大きな価値を提供できていると感じています。


インドネシアはイスラム教が国民の9割近くを占める国。LIFULL MEDIA INDONESIAではイスラム教の方以外にも、ヒンドゥー教、キリスト教といった様々な方が働いています。

みんな肌の色や宗教、育ってきた環境が大きく異なるのですが、LIFULLが掲げている「あらゆるLIFEをFULLにしていこうとするビジョンや、行動規範にすごく共感してくれています。みんなが共通で持つことができるビジョンや行動規範があるのはLIFULLだからこそだし、これを強みにして、一緒に働ける同志を広げて事業を拡大させていきたいです。

(社員のみんなと誕生日会)

 

ー インドネシアでビジネスをしていて思うことを教えてください。

自分はインドネシア人ではないし、インドネシアには1年半しか住んでいない。だからこそインドネシアやインドネシア人に対して謙虚であることを常に意識しています。みんなが考えている意見を素直に聞くべきだし、他人の意見を聞かずに自分の意見を強く押し付けることはしません。

LIFULLや自分の持っているスキルやナレッジとインドネシア人の発想や価値観を掛け算して、ビジネスとしてまとめ上げていくことは行っています。


今後私たちの会社で得たスキルや経験をもとに彼らはキャリアを築いていく。インドネシアで自分が残せるものは「事業」と「人」で、インドネシア人から見て、素晴らしいサービスを提供することと、それを創る人を育てること。私が日本に帰国しても、彼らがLIFULLから得たスキルや経験をもとに良いサービスを作ったり、次の世代に学んだことを伝えてくれたらこれほど嬉しいことはないですね。

 

あらゆるLIFEをFULLにしていく領域をインドネシア以外の多くの国に広げていきたい

 

ー 戸部さんの今後のビジョンを教えてください。

あらゆるLIFEをFULLにしていく領域を今携わっているインドネシア以外の多くの国に広げていきたい。例えば、インドネシアで成功しているモデルを他の国でも横展開していくことや、日本にある事業をどんどんインドネシアに持ってきて、広げていくなど、多くの可能性とチャンスがあります。

LIFULLは日本だけでなく、世界中であらゆるLIFEをFULLにすることを目指しています。これを最前線で牽引していきたいです。

 

ー 最後に海外でのビジネスに挑戦したい若手ビジネスパーソンにメッセージをお願いします。

海外で戦っていくためには自分の武器を磨いていくことが大事です。日本でやっていたことがそのまま通用する世界ではないし、アジアは競争が激しい。

既に中国企業は巨大で、大きな投資を東南アジアに対して行っています。また欧米のMBAを取得した現地の経営者は優秀な方も本当に多いです。そして欧米のプレイヤーもどんどん出てきています。そうなると自分の圧倒的に強みとなる武器がないと戦っていくことが出来ません。

だから海外でのビジネスに挑戦したい方は、最短で濃い経験と実績を積み重ねて、自分の武器を磨き、独自の高い価値を発揮できるようにしていくと良いと思います。

 

編集後記

LIFULLから内定をいただく前にSkypeで就活相談にのっていただいていた戸部さん。やっとジャカルタで直接お会いすることができ、インタビューまでさせていただきました。

実際に会った戸部さんはすごい方なのに謙虚で、しかも熱くて。さまざまな経験をされて、今に至っているのだなと実感しました。最後の戸部さんからのメッセージにあるように、これから私は社会人になるので最短で濃く経験を積み、海外に挑戦していきたいと思います!

 

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