映画好き必見!東南アジア✕多民族共生がテーマの作品4選!!〜甘くて苦いチョコレート〜

こんにちは!アセナビライターの松本晴那です。

みなさんは映画が好きですか?

映画を観ていると、その世界に入りこんだ気になったり、その国や地域の文化、人々の暮らしぶりを垣間見た気分になったりしますよね!

東南アジアと言えば多様性、多文化、多民族…

ということで、今回は多文化共生多民族共生を映画から学んでみましょう!

『グラン・トリノ』(Gran Torino)

・2008年、アメリカ
・クリント・イーストウッド監督、主演
・第33回日本アカデミー賞(2010年)外国作品賞受賞、
 第66回ゴールデングローブ賞(2009年)最優秀主題歌賞(“Gran Torino”)ノミネート作品

出典:http://blog.greenflag.com/2017/quiz-film-cars/

作品紹介

自動車工として長年勤めたフォード社を引退したウォルト・コワルスキーは、妻を亡くし、息子家族とも疎遠な、孤独で頑固な老人。彼は朝鮮戦争の帰還兵であり、そこでの重罪を神父に懺悔することも断り続けていた。

そんな彼の隣の家に住んでいるのは、東南アジアからやって来たモン族であった。人種差別主義者のウォルトは彼らの存在が気にくわない。そんなある日、モン族の少年タオは、不良グループにけしかけられ、ウォルトの愛車グラン・トリノを盗みに入る…。

人生の終え方を模索していた孤独な老人と生き方を模索していた少年の心のつながりを通して、人種や男女、老若、生と死を描いた作品。

おすすめする点

差別や偏見を隠していない!

この映画では、差別用語がたくさんでてきます。アメリカの少数民族、アメリカのリアルな姿が描かれています。以下にあるように、アメリカにおいてアジア系は5%、その中でもモン族は少数であることがわかります(2010年度国勢調査)。

出典:http://openers.jp/article/20750

出典:http://www.acejapan.net/oasis/oasis2016/7-2016/7-16.html

同時に、差別や偏見を隠さない描写が私たち日本人にも気づきを与えてくれます。なぜなら、私たちの多くは、口にせずとも、潜在的に差別や偏見をしていることがあるからです。

差別や偏見をしていた主人公ウォルトも、タオたちとの交流を通じて変わっていきます。人は人との交流を通じて気づきを得たり、成長すること、そしてそのことに年齢は関係がないことがわかります。

本当の意味での寛容性とは?

多民族共生は難しい問題であり、それを受け入れるには相当な覚悟と本当の意味での寛容性を模索する必要があります。

最後まで観ると、「憎しみの連鎖をどう断ち切るのか?」、「生と死とは?」の答えが得られると思います。クリント・イーストウッド監督は、ウォルトの姿を通して、アメリカの進むべき姿を提示しています。

これらの答え、気になりますよね?

ぜひ『グラン・トリノ』をチェックしてみてください!

動画配信:Amazonプライムビデオ, Hulu, dTV, U-NEXT

『細い目』(Sepet)

・2004年、マレーシア
・ヤスミン・アフマド監督
・第18回東京国際映画祭(2005年)最優秀アジア映画賞受賞

出典:http://ujmn2054filmstudiesii.blogspot.jp/2014/08/sepet-yasmin-ahmad-2004.html

作品紹介

舞台は多民族国家マレーシア。「細い目(原題 Sepet)」とは中華系マレー人の目のこと。

ある日、映画が好きな10代のマレー系少女オーキッドは、金城武の映画VCDを買いに行った市場のビデオショップで、店員の中華系青年ジェイソンと出会う。オーキッドとジェイソンは一目惚れをし、民族、言語、宗教、文化の壁がある2人の交際が始まる。

民族の異なる2人の甘くて苦い恋を通して、人と人とのつながりの大切さを描いた作品。

マレーシアについて

マレーシアはマレー系、中華系、インド系の民族から成る多民族国家で、言語も文化も宗教もそれぞれ異なります。この作品では、登場人物がマレー語、広東語、北京語、英語を混じえて会話を繰り広げています。

また、宗教に関して、イスラム教徒であるヒロインのオーキッドがコーランを朗読するシーンや、豚肉が売られている食堂に驚きながらも入るシーンがあります。

おすすめする点

多民族共生の可能性が、人と人とのつながりと想いを通して追求されている!

オーキッドとジェイソンの純愛を中心とした登場人物の関係の中にその可能性は表れています。この追求は、グローバル化が進み、多民族、多文化共生が求められる今日の世界に重要なヒントを与えています。

また、この作品はインドの詩聖タゴールの詩によって始まり、その詩によって締めくくられています。冒頭のジェイソンの母親のStrange. A different culture, a different language. And yet we can feel what was in his heart.”「不思議ね。文化も言語も異なるのに彼(タゴール)の心にある想いを感じることができるなんて。」という台詞は、人の想いが異なる文化や言語を乗り越えて繋がることを意味しており、この映画全体のテーマです!

“ステレオタイプではない”ジェンダーの表現と、“常識では考えられない”社会的地位の描写!

一般的に女性が好むと考えられるラブストーリーや花をオーキッドは好まず、一般的に女性が好きであろう詩をジェイソンが好み、彼の友人(男性)は一般的に女性が好むピアノが好きだったり…。

お手伝いがテレビを観ている間に主人が食事の支度をするシーンや、お手伝いが主人に買い物を頼むシーンもあります。

これらの描写は、型にはまらない、“可能性としてあり得る現実”を魅力的な人物像とともに描いており、メッセージ性が強いものではないでしょうか?

単なるハッピーエンドに終わっていない!

映画を観た者に解釈を委ねる終わり方で、余韻を残すとともに、タゴールのIt  is as near to you as your life, but you can never wholly know it.”「愛は人生と同じくらい身近なものだが、完全に知ることはできない。」 という詩が深みを出しています。

二人の恋の行方が気になりますよね?

ぜひ『細い目』をチェックしてみてください!

DVD : Sepet (DVD) Malay Movie (2005) Cast by Sharifah Amani & Choo Seong.

『チョコレート』(Chocolate)

・2009年、マレーシア
・ヤスミン・アフマド監督

出典:https://www.youtube.com/watch?v=9mJ9BBXQ7d8

実はこの映画、3分の短編映画なんです‼︎

『細い目』のヤスミン監督の作品です。

作品紹介

母親と暮らし、雑貨屋の店番をしている華人青年と、そこへやって来たマレー人少女のつかの間の出会いを描いた作品。

電池を買いに来た少女に哺乳瓶を出す少年。それを軽くあしらって電池を買った少女は、チョコレートをついでに買おうとする。しかし、お金が5セン足りない。奥から呼ぶ母親に気を取られた青年は「足りないなら買うなよ」と言ってしまう。少女は「ありがとう」とお礼を言い、電池だけ買って帰る。

少年はカウンターにチョコレートを叩きつける。 

おすすめする点

民族と個人の思いが絡まっている!

少年が哺乳瓶を出したのはなぜでしょうか?

おそらく哺乳瓶(bottle)と電池(batteries)を聞き間違えたふりをして、“かわいい”少女をからかってみたかった気持ちがあったのではないでしょうか?

もう一つの理由はブミプトラ政策(マレー人優遇政策)と関係していると考えられます。

マレー人は国から優遇され、“赤ちゃんのような存在”だという皮肉なのかもしれません。

チョコレートに隠された意味が深い!

最後に叩きつけられるチョコレート。肌の色を連想させるチョコレート。甘くて苦いチョコレート

『細い目』でもあったように、民族の異なる華人とマレー人の恋愛関係は甘くて苦い関係なのかもしれません。

少女が店を去った後、「チョコレートの5センくらいおまけしてあげれば良かった」という少年の後悔があったとしたら、それも甘くて苦いものだったと考えられます。

さらに、ブミプトラ政策により、華人は不遇な立場にあるため、外国へ留学を勧める母に対して少年は反論しています。「自分はこの土地でやっていくんだ。」という少年の強い思いは、甘くて苦いものなのでしょう。

3分でここまで内容の濃い映画があるんですね!

ぜひ『チョコレート』をチェックしてみてください!

無料視聴:15MALAYSIA

マレーシアのヤスミン監督の作品は、多民族共生をテーマとして扱っており、この他にもタレンタイム〜優しい歌(Talentime、2009年)などがおすすめです!

最後に〜もう一つの『チョコレート』

最後におすすめする映画は、もう一つの「チョコレート」というタイトルの映画です。

『チョコレート』(Monster’s Ball)

・2001年、アメリカ
・マーク・フォースター監督、ハル・ベリー主演
・第26回日本アカデミー賞(2003年)
 第74回アカデミー賞(2002年)
 第52回ベルリン国際映画祭(2002年)
 第59回ゴールデングローブ賞(2002年)

出典:https://ameblo.jp/crossinsane-blacomovie/entry-12073319676.html

東南アジアから離れてしまいますが、アメリカにおける黒人差別等の人種問題や死刑制度をテーマとし、白人と黒人の恋愛を描いた作品です。主演のハル・ベリーが、アフリカ系アメリカ人として初めてアカデミー主演女優賞を受賞したことで有名です。

原題の「Monster’s Ball」は、「怪物の舞踏会」、つまり死刑執行前に看守たちが開く宴会のことです。それがどうして邦題の「チョコレート」になったのか、ぜひこの作品を観た後に考えてみてください。

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さいごに

いかがでしたか?

多文化共生、多民族共生は、東南アジアの枠組みを超えて世界のテーマになっているものですよね!

今回ご紹介した映画が、このテーマを考えるきっかけになればうれしいです。