イメージとは全然違う!美容師が東南アジアで働く3つの魅力は願ったり叶ったり!

美容業界の最先端は50年前から変わらず、ロンドンとニューヨークが不動の上位ですね。一方で東南アジアはというと、美容師免許もなく衛生面も悪く、現地の人に髪を切ってもらうなんてなんだか不安。というのが世論です。私も同感です。

なので美容師と東南アジアってイメージ的には繋がらないだろうと思います。

私もインドネシアで働き出すまで東南アジアで働くことにめちゃくちゃポジティブなイメージを持っていたわけではありませんが、今回は東南アジアで働く美容師のひとりとして、美容師として東南アジアで働く、3つの魅力をお伝えします。

美容師さんでない方も、これから東南アジア住むかもしれない方にも美容室事情など少し参考にしていただければ幸いです。

様々な国からのお客様に接客できる機会に恵まれている!!

1番の魅力はきっと「様々な国からのお客様を接客できること」ではないでしょうか?

欧米系の白人さんの髪の毛とか切ってみたい!という憧れを持ってる美容師さんは多いのでは?と思います。なのでついついアメリカに行こう!というような思考にいたってしまいますが、ちょっと待ってください。

その土地には、その土地のプロがいます。例えば、アメリカ人はアメリカ人の髪質やトレンドを1番理解しているので、わざわざ高いお金を払って日本人に髪を切ってもらいたいという人は、あまりいないのです(日本のカルチャーが好き、日本っぽくしたいという理由で日本人スタイリストを好む方もいます)。

同じ海外でもアジアは母国語が英語ではないという点で、また髪質も日本人と近いことから、3年前の私のように英語が全然話せない美容師さんでも挑戦しやすい土地ではないでしょうか?(今は話せるようになりました!)

また、英語が共用語のマレーシアやシンガポールは多民族国家なので言葉に関して寛容な人が多く、我慢強く話を聞いてくれるので、英語を使う機会も増えて東南アジアでも働きながら英語の勉強ができてしまいますよ。

アメリカ出身のお客様。日本在住でありながらジャカルタの美容室に通ってくださってます。

東南アジアの大都市には世界中の駐在員が住んでいますし、日本よりも欧米系の方に会う機会が多いように感じます

私も諸外国(オーストラリアやアメリカ、イギリス)在住のお客様を担当させていただいたことがありますが、控えめに言っても世界での日本人スタイリストは「値段が高いけども技術が信頼できる」というイメージがあるようで、嬉しい限りです。ですので、日本人というだけで髪の毛を任せて頂けることもしばしば。私もそのイメージを崩さないよう毎日精進せねば!と感じております。

なのでアジア人、日本人のお客様に限らず、遠い国は南米や北欧など様々な国籍のお客様に携わらせて頂く機会が多いです。駐在員のお客様ですと数年でお別れが来てしまうのが残念なのですが、その後世界中にお客様がいるというのは美容師としてとてもやりがいを感じることではないでしょうか?

欧米に行くのではなく、東南アジアだからこそ多くの方と関われますし、信頼していただけるのはとても嬉しいことです。

その反面、欧米系の方の髪の毛は我々のそれとは随分と違い、ゼロから勉強することがたくさんあります。

髪質だけでなく、その国のカルチャーで「これがおしゃれだ!」とされているものの理解に努めなければならないのも事実です。同じアジアでもお国柄の趣向みたいなものは色々あります。インド系の方の好きなスタイリング、北欧の方が好きな色、全部が違っていて、はじめは頭が何度もパンクしました。

 

薬剤ってどんなものを使ってるの?薬事法が違うことの楽しさ。

おしゃれなジャカルタっ子はバレイヤージュはもはや当たり前ですね!

インドネシアでもいくつかの日本の薬剤は流通しています(ジャワ島以外では確かではありませんが)。

日本ってパーマの技術がとても進んでいるって知ってましたか?傷んでいる髪にも優しい薬を使って、柔らかくパーマをかけるというのは日本にしかない技術と言えます。東南アジアでは「パーマはかかっていればいいもの。長持ちしなければ意味がない」という概念が根強く、パーマ剤のバリエーションは少ないですし、デザインの幅や基礎知識がまだ乏しいので安易にローカルの美容室でかけるとグリグリにかけられてしまいます(お気をつけて!)。

数年前にはインドネシア人のお客様もあまりパーマに対するイメージが良くなかったようです(おばちゃんがかけるもの!というイメージみたいです)が、今では韓国と日本の影響を受けて美容室の必須メニューになりました。

また白人さんの髪にはパーマをかける習慣はないので(ストレートパーマはあります)、世界的にも日本ではパーマの需要は多いことになりますね!

日本と同じくふわふわのロングヘアは王道の人気です。

薬事法が日本と違うので日本で当たり前に使っている薬剤が使えないこともしばしば。特にイスラム教徒の多い国ではハラルかどうか?ということも問題になると聞いたこともあります。美容師さんとしては薬剤が充実していないことは不安要素になると思うのですが、逆に日本では未入荷のお薬を使うことも出来ます!なので日本では時間がかかるカラーリングももっと早くできたり、難しい色もだせたり、痛んだ髪にも対応できたりといったメリットもありますし、お客様も日本よりは様々な年代の方が「奇抜な色」を好む傾向があるので、デザインする楽しさも頻繁にあります。

東南アジア各国の主要都市ではおしゃれに敏感な華僑の若者も多く、美容師である私がびっくりしてしまうくらいヘアスタイルにお金をかける子もいて、経済の成長を感じずにはいられません

しかし、カラーリング剤が日本ほど多くないことと実際は流通の問題もあるので、薬剤が切れて2週間届かないこともごく稀にあります。そんな時はどれとどれを混ぜれば代用できるかなどといった、ちょっとした困難もいい経験になります!

問題は水が硬水なので、カラーが染まりづらいのにすぐ落ちる、パーマがかかりづらいのにすぐとれる等の日本では起こりにくい失敗もあります。業務内容は日本とさほど変わらないですが、人種の違い、水の違いを考慮しなければならないので日本よりは多くのことを考えたり、言葉の違いから起こるミスコミュニケーションなどのハプニングが起こる頻度が高かったりします。刺激的な日々を送りたい、もっと薬剤知識を高めたい、困難に立ち向かって人間的にもレベルアップしたい、これらに当てはまる美容師さんには是非東南アジアをおすすめします

 

冬のないアジアでは手荒れ減少、セーターに絡みつく髪の毛問題も解消!

美容師の最大の悩みは「手荒れ」ではないでしょうか?私は冬場くらいしか手は荒れなかったのですが、少なくとも日本の冬の繁忙期には多くの美容師さんが手荒れに悩んでいるでしょう。

東南アジアは常夏で湿潤な気候ですが、日本の夏よりは暑くないですし肌は比較的しっとりと保てる上に、お客様が水でのシャンプーをリクエストすることも多いので、手荒れの原因であるお湯を使う機会も減ります。完全に荒れないわけではないですが、手荒れを理由に美容師を諦める人もいるのが現実です。東南アジアだと、その悩みがなくなるというのは大きなメリットではないでしょうか?(私はすごく助かっています!)

常夏なので1年中プールが自宅で楽しめますが、日焼けしすぎに注意です。

常夏ですから、服装は夏服と建物の中は冷房が効いてるので春秋服で仕事ができます。冬服ファッションが楽しめないというデメリットはありますが、セーターを着てきて髪の毛まみれになることや、洋服が厚くて仕事がし辛いなどの冬独特の悩みもなくなります。

私がもっとも幸せに感じていることのひとつとして、花粉症がなくなったことも挙げられます。接客業なのでマスクをしながらだとお客様に失礼だったり、女性であれば花粉症なのにメイクをしなければならないという、悩ましい季節から解放されます。

というように、多くの「冬が原因」で起こるちょっとめんどうくさい問題が一気に解決されるので、とても働きやすいというのが私の感想でもあります。

 

さいごに

現在急成長中の東南アジアには多くのビジネスチャンスが転がっている様に、美容師にも日本と同様に「自分のお店を持つ」という夢を叶えられる可能性は十分にあるんです。

海外にお店を持つオーナーさんは日本とは違う価値観を持っていたりするので、私がインドネシアに来た26歳という年齢は、美容師としては「やっとペーペーじゃなくなった」くらいのキャリアでしたが、色々な経験やチャンスを与えて頂き美容師としても成長できました。ですから、スタイリストになってまだ年数が浅い人でも、日本で経験を積むのと同じくらいの「濃い経験」は十分に得られると思います。

年に1度スタジオを借りてサロンのコレクション撮影をしています。

今はワーキングホリデー制度などもあり、我々美容師も世界各国で働くチャンスには十分恵まれています。しかし、一つの土地で労働ビザを取って何年も働いていくということは、期間限定で働くことでは見えない感動があります。例えば、その国が成長していく様子や、美容師に関していえば毎年カット料金を上げるということや、長期休暇の度に遠くから髪を切りに来てくれるお客様がいたり。

言葉の面では、実際は多くの東南アジア人は英語が話せますが、完璧な英語ができなくてもみんなちゃんと理解しようと努めてくれる温かい人がたくさんいます。言葉に多少自信がなくても、踏み出してみれば意外と大丈夫!だったりしますよ。