2017.02.25

社会起業家 from Indonesia 特集第7弾です!

最近、日本で高価格帯の野菜や果物、その加工商品、スーパーフードなどの健康食品を目にする機会が増えました。また、食品偽装問題もメディアで大きく報道され、食の安全性について関心が高まっています。

インドネシアでは中間層が増えるにつれ、健康に対する注目が高まりました。しかし、農薬を使用し大量生産した安い農作物も多く、まだ消費者の欲求が満たされているとは言えません。

健康にも環境にも優しいオーガニックの製品をインドネシアに、さらには世界に普及させているJAVARA。そんなJAVARAをHeliantiさん(JAVARAのCEO)と共同設立し,現在はオペレーションディレクターであるMohammad Suprapto氏にお話を伺いました。

 

≪プロフィール|Mohammad Suprapto氏≫ 

1996年~2001年、フリーランスのコンサルタント及びシステムエンジニアとして活動。

2001年~2002年、IT分野でビジネスアナリストとして活動。

2003年~2006年、IT関連会社,Advantic Consulting PTにて取締役社長を務める。

2006年~2008年、RAMP Indonesiaにて草の根の起業支援を担当。また、Khaula Karya Foundationにてビジネス開発責任者を務める。

2009年~2010年、TU Delftにて、研究員の助手アシスタントを務め、2010年から現在にかけて研究員となる。

2016年~現在、JAVARAの最高執行責任者となる。

(参照:LinkedIn

農家の仕事に対する誇りを取り戻す

-さっそくですが、JAVARAを設立するに至った経緯を教えてください。

インドネシアには約17,000の島があるのをご存知でしょうか。とても多くの島から構成されているからこそ、衣食住や言語といった文化が地域ごとに存在しているのです。しかし食に関して言うと、現在インドネシアでは、それぞれの地域に根差したオーガニック製品が大量生産された安い農作物より高いため、手に入りにくくなっています。

私たちは、安い農作物を否定しているわけではありません。多くの人々が安い農作物を求めていることも事実です。しかし、インドネシアの多様性を保護するため、「健康にも環境にも優しいオーガニックの製品」という選択肢も普及させる必要があるのです。

一方、農家は価格競争に巻き込まれ、主要なマーケットに自らアクセス出来ず、充分な収入が得られない問題が生まれています。その問題を解決しつつオーガニックの製品を普及させるために2008年にJAVARAを設立しました。

 

-次にJAVARAのミッションと具体的な事業内容を教えてください。

JAVARAのミッションは「インドネシアの多様性ある農作物を保護することと農家の仕事に対する誇りを取り戻すこと」です。

事業は卸と小売りを行っています。インドネシアでは農家が直売という形で農作物を売る場合や、小売店に農作物を置いてもらい、売れ残りは利益にならない場合があります。また、卸業者や小売業者に農作物を買い取ってもらっても、その値段は農家にとってほとんど利益にならないようなことが多々ありました。

そうではなく、私たちは提携農家から直接、適正な価格で農作物を買い取ります。そして、その製品を魅力的にデザインした上で市場に卸しているのです。また、提携している農家や加工業者がFarm entrepreneurとして新しくビジネスを始めるための技術的支援もしています。

現在、私たち50,000以上の小さな農家と共に働き、600以上の商品を販売するようになりました。また、3,000以上の食品加工者が安全で質の高い商品にするためにJAVARAの研修を受けています。

 

製品が作られるまでの物語を売る

JAVARAの提携農家の農場にて撮影

-「魅力的にデザインする」と仰っていましたが、どのようにデザインしているのでしょうか?

モダンなデザインを施した商品のパッケージに、製品が作られるまでの工程を記載しています。私たちはただ製品を売っているわけではありません。各地域で地元の人々と共に「製品が作られるまでの物語」を売ることで、インドネシアの多様な農作物を保護しているのです。

バリの塩。入れ物にもこだわっている。塩の形は自然にできたもの。

 参照:Youtube

-なぜ商品をデザインする必要があるのでしょうか?

皆さんご存知の通り、市場に製品を卸すので、適切な質にしなければなりませんし、安全性も確保しなければなりません。また、市場を考えた時に、魅力を感じてもらわなければなりません。

農家は、小売業者や卸売業者に不当な値段で農作物を買い取られることもありますし、何よりも価格競争の面などで主要なマーケットにアクセスできないのです。なので私たちが農家の販路を拡大する必要があると考えています。

パッケージング、ラベリング、マーケティング、あとはストーリー。どのような想いを持って農家が製品を作っているのか、どこから製品はきているのか、私たちがどのようにプロデュースしているのかを示す必要があるのです。

 

関わる全ての人が恩恵を受けるシステム

-社会的企業の中には、人材不足などの課題を抱えているところも多くありますが、JAVARAが現在抱えている課題はありますか?

あります。はじめからオーガニックに興味のない農家の方もいますし、天候不順による不作やJAVARAよりも高い値段で買い取る会社の台頭により、販売していた製品の販売が止まることがあります。このような問題をどのように改善するかがJAVARAの今後の課題と言えます。

ただ、会社が高い値段で買い取っても、農家の暮らしが良くなるかはまた別の問題です。「一次的なブームが過ぎたら撤退」という状態が続けば、持続的な農業は行えません。彼らが仕事に誇りを持って、金銭的にも技術的にも自立することが最も大切なのです。

 

-課題はありつつもJAVARAは持続的な経営をしています。どのようなところがポイントなのでしょうか。

一番大きなポイントは、利益配分のバランスだと思います。

例えば、私たちの人気商品であるココナッツシュガーの例を出すと、利益配分は、約30%が農家へ。25~30%JAVARAへ。そして、15~20%がスーパーなどの小売店へ配分され、残りの20%ほどはデザイナーやその他へ配分されています。

こうした利益配分をすることで関わる全てのセクターが恩恵を受けるシステムを作っているので、私たちは社会問題を解決しつつ持続的な経営を行っているといえるのです。

オーガニック製品が集まるSunday MarketにてJAVARAの商品を撮影

 

-最後に今後のビジョンを教えてください。

現在、オーガニックに関心のある中間層以上の消費者をターゲットとし、売上のうち75%を海外市場が占めています。しかし、全体の売上のうち、店舗販売が90%を占めているので、今後はオンラインでの販売の拡大を予定しています。

また、現在、料理教室を月に一回していますが、オフィスの中に小さなレストランを作ろうとしています。そこでJAVARAの製品を使った料理を提供すればお客さんも来てくれるだろうし、JAVARAの商品の購入にも繋がると考えています。

 

取材後記

今回、JAVARAを取材した時に、彼らは消費者の情に訴えていないことがわかりました。魅力的な商品のデザイン、巧妙なマーケティングで消費者を惹きつけていたのです。

彼らは、農家を支援対象ではなくパートーナーとして考えていました。確かめるべく、実際に提携農家の方に取材に行きました。農家の方は楽しそうに、育てている農作物を見せてくださいました。そこから感じ取れたのは、まさに農家としての誇りでした。今後、より資金的にも技術的にも自立した農家が増えていくことを期待します。

JAVARAの想いや魅力な製品がよくわかる映像です。是非ご覧ください。

参考URL

http://www.javara.co.id/

http://www.schwabfound.org/content/helianti-hilman

 

取材メンバー:井上良太、ディンセ 華純、Bamby Caulfield

執筆・編集:井上良太

 

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