2017.02.01

社会起業家 from Indonesia 特集、第4弾です!

みなさん、現在インドネシアで竹が注目されているのをご存知ですか!? 竹は安価で丈夫な素材であるため、カバンやコップ、アクセサリーなどの商品から家まで作ることができるんです!

(Photo from Intagram)

しかし、素晴らしい技術を持った竹職人であっても給与が低く、生計を立てるのが難しい現状がありました。その問題を解決しようと立ち上がったのが、Amygdala BambooのCEO, Harry氏でした。今回はHarry氏のバックグラウンドからビジネスまで、幅広く紹介します!

※Harry氏は社会起業家特集第1弾で紹介したSyamsi Dhuha Foundationが開く社会起業家向けのビジネスコンテストのファイナリストであった縁で取材させていただきました。

≪プロフィール|Harry Anugrah Mawardi氏≫
工業デザインを専門とし、2010年より2つの大学で商品デザインやビジネスデザインについて教えている。食品パッケージに関わるコンサル事業やコミュニティ開発事業に携わった後、2014年にAmygdala Bambooを設立。
2015年にSyamsi Dhuha Foundation及びBandung Social Innovator Circleにより開かれた社会起業家向けのビジネスコンテストでファイナリストに選出される。「竹をあなたの毎日の生活に」をスローガンとし、Amygdala Bambooは部屋の装飾やファッションアイテムとしての竹商品を製作し販売する。

1日300円の収入

-Amygdala Bambooを設立した背景を教えてください。

設立の背景は、私のITB (Institute Technology of Bandung:バンドン工科大学) における調査員の経験までさかのぼります。

竹に関する魅力的なアイデアの多くが調査書や記事、試作品の完成だけで終わってしまい、世の中に出ていかないことに問題意識を持っていました。

同時に、竹職人の過酷な労働条件を改善したいとも思っていました。彼らは一日働いて300円ほどしかもらえていなかったのです。そこで彼らの日給を1,000円に引き上げることで社会に貢献しようと考え、2014年に会社を立ち上げました。

 

-そもそもインドネシア人にとって、竹は身近なものなのでしょうか?

竹は木に比べて早く成長するので、安価に手に入る素材です。また容易に加工でき、かつ頑丈であるため、アイデアの詰まった商品には付加価値がつけやすいのです。

例えば、竹を使った携帯のケースやサングラスは人気があります。しかし先ほども申し上げた通り、竹職人の収入は低く、社会問題化しています。そこでAmygdala Bambooは魅力的な竹商品の販売を手掛け、竹職人の生活水準を高めることに焦点を当てています。

 

(Photo from Intagram)

-竹を扱う際に気をつけなければいけない点はありますか?

あります。手作りであると製品は作るごとに質が異なってしまうこともあるので、難しいですね。また、デザインが良くなくて購入していただけないケースももちろんありますが、気候によって材質が変わってしまったために購入していただけないケースもあります。そのため、現在は規格をそろえるために、湿気などで材質が変化しないようなコーティングを製品に施しています。

 

竹職人の生活を改善

( Photo from Amygdala )

-現在のAmygdala Bambooの事業内容を教えてください。

ジャカルタやバンドン、バリにあるいくつかの店と提携して竹職人の商品を販売しています。商品はブログやInstagram、Facebookといったソーシャルメディアを通して販売促進しています。

マーケティングの効果もあり、月に3,000〜4,000万ルピア (25万-34万円) の売り上げがあります。オ-ストラリアやシンガポール、韓国、イタリアに輸出もしています。オンラインセ-ルスに関しては5つのパートナーがインドネシア国内にいますし、店舗はジャカルタとバリにもあります。

今後、日本にも輸出したいので、あなたたちに私たちの商品を日本に普及させてほしいです (笑) 。

 

-任せてください!この記事を見てくれている皆さん、CoolなAmygdala BambooのHPInstagram、覗いてみてください!

Happy Ied Mubarak everyone!! May the blessings of Allah be with you

amygdala bambooさん(@amygdala_bamboo)が投稿した写真 –

(Photo from Intagram)

-組織の人員体制はどのようになっているのでしょうか?

私たちはとても小さな会社です。3人の社員と4人のボランティア、そして8人の竹職人で構成されています。社員に関しては、家族経営なので、私が、社長で全体のマネジメントをして私の妻が財務管理をしています。そして私の兄弟がパッケージや配送などの商品管理をしています。

大学で教えていたこともあり、つながりのあった大学生がボランティアとして活躍してくれています。彼らには主に商品のデザインや竹職人のマネジメントを手伝ってもらっています。

 

-竹職人の生活はどのように変わっていったのでしょうか?

まずは時間を有効活用できるようになりました。今まで彼らはインドネシアの他にも中国やほかの東南アジア諸国に竹を取りに行っていましたが、現在は作業場から1時間ほどの所に竹があります。そのため、空いた時間で彼らは作業場の掃除をし綺麗な環境の中、作業に集中することができるようになりましたし、残業の時間も減りました。

また、彼らは収入が増えたことで家を建てられるようになったり、リフォームできるようになったりしたため、より充実した人生を送ることができるようになったと言ってくれています。

 

信頼が斬新なアイデアを生む

-現在抱えている課題はありますか?

2つあります。1つ目が人材不足。そして2つ目が竹の確保です。

1つ目の人材不足に関しては、竹商品が人気を得てくるようになり、8人の竹職人だけでは供給が追い付かないことがあります。供給が遅くなると、顧客が遠ざかってしまう可能性が高いので竹職人の雇用と育成が必要になってきます。

2つ目の竹の確保に関しては、今は竹を自分たちで所有しているわけでもないですし、以前より近くなったとは言え、作業場から約1時間かかるところに竹をとりに行かないといけない状況です。なので、契約先との取引の関係から需要の変動に合わせることが難しいです。そのため今後は、自分たちで竹を所有することを検討しています。

 

-竹職人は高いスキルを要求されるため、竹職人の確保や育成は難しいのではないでしょうか?

そうですね。難しい面もあります。しかし、インドネシアには産業として竹籠を作っている村があります。そこの職人は1ヶ月あたり約4,000個もの竹籠を作ることができる技術を持っているのです。なので、彼らが、新商品の提案をしてくるのも多々ありますし、社員やボランティアが考案したアイデアを形にしていく中で、改善提案をしてくれることも多々あります。その商品の中からベストセラーが生まれることもあるのです。

 

-なるほど、では、高い技術者になると今度はプライドが高く、デザインの面で衝突することがあるのではないでしょうか?

プライドが高い職人も当然いますし、全ての職人が頭が切れるわけではないので、苦労することはありますね。そのため、今は若い竹職人の育成に力を入れていて、彼らを商品が輸出される現場に連れて行ったり、実際に商品を使っている顧客に会ってもらったりして、それらの経験を商品改善につなげてもらっています。そしてビジネスの仕組みも理解してもらい、彼らの独立支援もおこなっているのです。

私は社会起業家として竹職人がよりよい収入を得て生活水準を高めるとともに、竹職人の能力を高めることを目標としています。そのため、現在8人の職人がGarut市で働いていますが、は職人の能力を信じています。私の役目は職人が自信を持って作品を作る環境を創出することです。そのおかげでユニークな作品が開発されているのだと思います。

 

竹で村を創る

-Harryさんは2015年にSDFが主催するビジネスコンテスト(AJWSB)に参加したと伺いました。その理由は何だったのでしょうか?

最大の理由は認知度の向上です。国内外のメディア(TV、新聞、ラジオ、オンラインニュース)の報道があったからこそ、人材不足を補えましたし、効果的な販売促進を行うことができました。

また、スポンサーであるブリティッシュカウンシルのコンサルティングを6か月間受けることで、ビジネスプランの立て方や財務状況の改善の仕方を学ぶことができました。そのおかげもあり、2016年にはMandiri銀行主催の若手起業家向けのビジネスコンテストでも優勝し、賞金100万円を手にすることができました。

 

-おめでとうございます!今後のビジョンについて教えてください。

今後はMandiri銀行主催のビジネスコンテストで得た賞金を基に事業の拡大を計画しています。例えば、目標の一つはスマートフォンのケースを作ること。欧米のマーケットから要望が多く寄せられているので。ただ、作るにはレーザーカッティングなどの高度な機械を導入するなどお金がかかるので、キャッシュフローを考えながら計画を立てていきます。

あとは、ジャワ島の西部でより多くの職人の村を作ろうと計画しています。つまり、観光客を呼びよせ、村を活性化させ、さらには職人同士が刺激し合い斬新な商品を生み出すきっかけ作りを試みています。

また、雇用の面でも改善できると考えています。職人になるにはかなりの経験を積む必要がありますが、もし職人になれなかったとしても、街の観光ガイドをする仕事や道路や電気などのインフラを整える仕事ができます。そうすれば、街全体が活き活きしてくると思うのです。そういった街をいくつも作っていきたいですし、街同士で交流ができたらシナジー効果も生み出せると思います。

 

-最後に読者へ向けてメッセージをお願いします!

私は幼い頃に両親をなくし、困難な人生を送ってきました。しかしながら、多くの方に支えられ大学も卒業できることができました。

いつか恩を返したいと考え、大学時代には友人に私が将来社会に貢献して成功すると言い続けていました。その当時は子ども向けの基金を建てようと考えていましたが社会に貢献して恩返しをするという思いは同じです。このように自分が受けてきた恩を何らかの形で社会に還元するというのは自分の人生を豊かにする上でも大切だと思います。

なので、頭のどこかに社会貢献というのを考えながら生活を送る人が増えると社会がよりよくなると思うのです。皆さん、一緒に社会をよりよくしていきましょう!

Harryさんがビジネスコンテストに出場した際の映像です!彼の活動を簡潔にまとめてあるのでご覧ください。

 

取材後記

Harryさんは、大学の教授でありながら、社会起業家になり、社会問題解決に取り組んでいます。私は、教授という職業は学問の世界や政策提言のみを行うことが多いと考えていましたが、Harryさんのように、専門家が実際に事業を行うことで、社会問題に対して様々なアプローチの仕方が生まれるではないでしょうか。日本でも大学発のベンチャー企業が出てきたり、大学と企業が協力して、事業を行ったりすることがありますが、こうした動きが日本、世界で広がっていけばいいと思います。

 

取材メンバー:井上良太、坂本眞一郎、Nurwantini Wiyono

執筆・編集:井上良太

 

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