観光・歴史・起業まで、シンガポールを知るためのオススメ本7選!

2017.01.21

アクセスと治安の良さ、英語圏だということから日本人の海外旅行先として定番のシンガポール。

ASEANデビューをシンガポールで迎え、人生初の陸路での国境越えをシンガポールとジョホールバルの間で経験した人も多いのではないでしょうか?筆者もその一人です。

今では日本人にとってかなり身近になったシンガポールですが、独立して50年ちょっとのシンガポールの歴史を深く知ろうとする日本人はそう多くはないでしょう。それを裏付けるように、シンガポールに関連する本は数える程度しかありません。

あったとしてもほとんどが「シンガポールの会計や税務」といった難しい本ばかりで、なかなか気軽に読めて、かつシンガポールについて深く知ることができませんでした。

しかし今回は、気軽にサクサクと読めるかつ深くシンガポールを理解するのに最適な、日本語の本7選を紹介したいと思います。

これらの本を読めば、シンガポールに行ったことがない人は行きたくなり、行ったことがある人は「あ!あれはそういうことだったのか!」となり、よりシンガポールが好きになるでしょう!

シンガポールに行く前に読んでおきたい本!

シンガポールに行く前の日本人のほとんどは、なんとなく東南アジアではダントツに先進国の、すごい国のようなイメージを持っていたのはないでしょうか?

そのようなイメージは、きっと本書の表紙にもある奇抜なデザインのマリーナ・ベイ・サンズから形成されているでしょう。SoftBankのCMでSMAPが屋上のプールをかっこよく歩くのを観てシンガポールを訪れた人も多いはず・・・

しかし「ローマは一日にして成らず」と同じく、その繁栄は決して天から与えれられしものではなかったのです。

表紙の見出しにもあるように、土地も人材も資源もない国が奇跡的経済成長を遂げることができた理由が本書にまとめられています。

不利な状況から這い上がってきたシンガポールのサクセスストーリーは、確かに今日本人が最も知るべきです。なお、グルメはショッピングなどの観光情報は少なめです。

 

シンガポールは小さいし、観光スポットも限られているから観光は3日で十分!と考えていたあなた。確かに日本と違って、急げば3日で主要観光スポットは制覇できるでしょう。

しかし本書を片手に観光すれば、シンガポールのうんちくネタに夢中になってしまい、3日では足りないことを思い知るでしょう。さらに、とてもコンパクトなので観光の際も携帯しやすいです。

例えば、シンガポールのシンボルであるマーライオン。本書には「マーライオンの背後に"小型"マーライオンがるのはなぜ?」という項目があります。

ちなみ、シンガポールの大学では、「外国人から見たマーライオン」というテーマでよくこの動画がよく授業中に紹介されます。(笑) もとの動画を観たいという方はこちらをどうぞ!

次に、シンガポールへ観光に来てマーライオンとマリーナ・ベイ・サンズに行かない人はいないでしょうが、それらのすぐ近くにある日本占領期犠牲者慰霊塔に足を運ぶ人は少ないようです。しかし、日本人として日本がシンガポールを占領していたという歴史は知っておくべきです。

本書には「日本占領期犠牲者慰霊塔がフォーク状なのはなぜ?」という項目もあり、「なるほど!」となります。

(日本占領期犠牲者慰霊塔。バックにはマリーナ・ベイ・サンズも見える。)

シンガポールにいる時や帰国後に読みたい本!

この本は少しアカデミックな視点に立っています。実はこの本も上の『シンガポール謎解き散歩』と同じ著者によって執筆されており、著者である田村氏は東南アジアの研究者で、シンガポール国立大学(NUS)の客員研究員も勤めていたそうです。

シンガポールの原点から現代に至るまで、政治・経済・文化を振り返りながら包括的に解説してくれています。これまでに紹介した本は観光や経済に関するポジティブな面が多かったですが、本書には歴史や政治におけるネガティブな側面も出てきます。

 

シンガポール建国の父と呼ばれるリー・クワンユー氏を知らずにシンガポールのことを知ることはできません。今ではアジア最高の一人当たりGDPを誇り、世界有数の先進国となったシンガポールですが、もともとはアジア弱小国家でした。そんな弱小国家を最強国家に導いたリー・クワンユー氏の人生がマンガで分かりやすく描かれています。

小学館の伝記漫画になったということは、織田信長やエジソンに並んで殿堂入りした言っても過言ではないでしょう。

リー・クワンユー氏の政治には賛否両論がありますが、かつてリー・クワンユー氏が日本から学ぶことを促したように、今度は日本がシンガポールから学ぶ点も多いはずです。

シンガポールでビジネスをする前に読んでおきたい本!

シンガポール政府国際企業庁と在京シンガポール大使館商務部での経験を活かしてシンガポールで日本企業のシンガポール進出を手がけている関氏の著書です。

これまで紹介した本が主に「観光」や「歴史」に関するものだったのに対して、本書はQ&A式でテンポ良くシンガポールで「ビジネス」をするために知っておくべき点がまとめられている貴重な本です。

本書によると、「世界一起業しやすい国」として有名なシンガポールですが、歴史や民族構成は複雑で、ビジネスをする中でも宗教別配慮が鍵になるようです。

全てのシンガポールドルに対して日本円換算がされていたり、MOMといったシンガポールに多い独自の略語にも人材開発省、Ministry of Manpowerと日本語と正式名称が記されており親切です。

最後の「おわりに」にある、関氏がシンガポールで起業したきっかけや、本書を執筆するにあたっての想いから、「情報の重要性」が伝わってきました。

参照|シンガポール行政からラーメン屋まで。多方面で大活躍。クロスコープシンガポールを通し中小企業のスタートアップを支援する関泰二氏

シンガポールオタクになるための本!

シンガポールを理解するうえで最後の関門と言っても過言ではないのが本書です。

実は、今までに紹介した本も含めて、シンガポールに関連する本のほとんどの参考文献リスト入っているのが本書です。現時点でシンガポールに関する日本語文献では一番深くて信頼のある「バイブル」と呼ぶべきです。

著者の岩崎氏は東南アジアの研究者としても有名で、多くの東南アジア関連の文献を執筆されています。

個人的に印象的だったのは、岩崎氏の日本占領期に対する評価です。日本占領期はシンガポールにとって地獄のような時間でした。しかし考え方次第では、ずっと何かあればイギリスがなんとかしてくれるだろうと依存していたシンガポールに、自立心を芽生えさせる機会を与えたとも考えることができるとのこと。その痛みこそが今日のシンガポールの強さの源であるという考えです。

このように、かなり深いところまで学問的視点で言及があるので、シンガポールに長期滞在したことがない人は、なかなか読んでも頭に入ってこない内容が多いです。しかし、ある程度シンガポール社会に慣れて前提知識があれば、より深い理解を手助けしてくれること間違いなしです。

本を買うお金がない・・・という方は!

JETROがPDFで無料公開している『シンガポール スタイル』が住宅・食・ファッション・ライフスタイル・主要産業と幅広くカバーしてくれています。

たくさんの写真がフルカラーで掲載されているのに加え、具体的な統計数値もあり頼もしい限りです。

実は、この冊子はシンガポール歴20年以上の内藤氏が経営するMEDIA JAPANが受注制作したものなので、かなり現地の情報がリアルに伝わってきます。正直、無料なのにこのクオリティーはすごいです。

参照|日本からシンガポール、そして世界へ!シンガポール唯一のビジネス情報誌「AsiaX」と日本の食文化を世界へ発信する「OISHI」を手掛けるMEDIA JAPAN代表取締役、内藤剛志氏

百聞は一見に如かず

本やネットで情報収集をすることは重要ですが、やはり「百聞は一見に如かず」です。まだシンガポールに行ったことがない人はぜひこれらの本を読んで実際に訪れてみてください。もうシンガポールに行ったことがある人や、滞在中の人は改めてシンガポールについて勉強してみることで新たな発見があると思います。

たった50年少しの歴史しかないシンガポールですが、奥が深いです・・・