「社会起業家 from Indonesia 特集」はじめます。

2017.01.01

「社会問題を解決したいけど、仕事では無理かな」

学生時代に国内外で様々な活動をされてきた方で、このような考えに至ることは少なくないのではないでしょうか。

アセナビライターである私、井上良太が社会問題に関心を持ったきっかけは、大学2年次に訪れたカンボジアです。

カンボジアのお土産が集まる場所。質が高いとは言えない。物乞いをする子どもたちに出会う

カンボジアのコムルー村。舗装されている道は少ない

そこで見た、笑顔が素敵な子どもたち、ボロボロの服を着て物乞いをする子どもたち。

今もなお私の脳裏に焼き付いています。

社会の不条理さに直面したとき、彼らに対して何かをしたいという想いがあるのに何もしていない自分に嫌気がさしました。

社会起業家に対する衝撃

社会起業家中間支援組織 Unltd Indonesia Romy氏

そのような無力感や自己嫌悪を抱えながら過ごしていたある日、社会問題を事業で解決している社会起業家をテーマにしたゼミに出会い衝撃を受けました。

ゼミでの学びは驚きの連続でした。社会起業家が生まれた背景やその役割を日本と欧米の社会起業家を比較しながら検討していきました。NPOのような企業、企業のようなNPOがあり、わくわく感でいっぱいだったのです。

しかし、ゼミの授業を受け始めてから1年が経とうとしていた時に、ふと気づきました。「途上国や新興国の事例を知らない」ということを。

インターネットで東南アジアの社会起業家を調べていた時にGakuvoalternative projectという組織に出会いました。その2つの組織が提携して、日本の大学生向けにインドネシアで活動する社会起業家について学ぶ機会を提供していたので、さっそく応募してみました。

参加してみると、机の上で勉強していた時にはわからない現地の様子がこの目で見えること、社会起業家に直接お話しを伺えることが刺激的でした。インドネシアで目にした、異臭を放つ汚れた川。学校に行けずに働いている子どもたち。雨をしのぐことができない家。

環境問題や格差貧困の深刻さを感じ、自分には何ができるのか問い続けました。現地を散策した後に実際に現地の社会起業家にインタビューをしにいきました。そこで彼らの強い思いや営利企業や自治体を巻き込む緻密なビジネスモデルを学び、実際に日系企業の方を招いてプレゼンをしました。

 

想いを発信したい

教育支援や就労支援を行う社会的企業,YCAB Foundationについてプレゼン

そのような学びを日本に持ち帰り、自分が学んできたことを記事や報告会というツールを使い「伝える」活動をしていましたが、その中で日本での社会起業家に対する認知度が低いことに気が付きました。社会起業家がいかに素晴らしい取り組みをしていても、その存在を知らなければ、組織の存続も厳しくなってきます。

現に私が参加したプログラムを主催しているalternative projectは、学生向けの素晴らしいプログラムを提供しているにもかかわらず、広報があまりうまくいっていないとの課題がありました。それはalternative projectに関わらず現地の社会起業家に共通した課題であったため、私が彼らの想いや事業を発信していきたいと強く思い始めました。

 

こうしてインタビューが始まりました。期間は3/6-3/20、8/4-8/20の計4週間。訪れた地域はインドネシアのジャカルタ及びバンドゥン。

alternative project主導のもと、インドネシアでは私を含め、プロジェクトメンバーが合計10名の社会起業家の方にインタビューをさせていただきました。

素晴らしいプログラムを企画してくださったalternative projectGakuvo、快くインタビューを引き受けてくださったインドネシアの社会起業家の方々、本特集に協力してくれた参加者のメンバーには感謝の気持ちでいっぱいです。

インドネシアの社会起業家の方々はエネルギーに満ち溢れていました。「社会を変える」ための本気度が、机の上で学んでいる自分とはかけ離れていました。

 

「社会起業家 from Indonesia 特集」で叶えたいこと

私は、この連載記事を通じて、社会を変えていく仲間を増やしたいという想いがあります。

大きなアクションも必要ですが、ポイ捨てしないとか、社会を変えている人の講演を聞いてみるとか、いいと思ったプロジェクトに参加してみるとかそういった小さなアクションから始めることが大切だと思うのです。

社会問題を解決することは、世界中の人々を幸せにするだけではなく自分の幸せに繋がるということ、社会問題は社会人になっても解決できるということを知っていただくきっかけになれば幸いです。

それでは、「社会起業家 from Indonesia 特集」、はじめます。

 

追記

2017.01.01公開
【社会起業家特集】Lupus患者と視覚障害者に希望の光を。Syamsi Dhuha Foundation Eko, Dian氏

2017.01.07公開
【社会起業家特集】妊婦の半数が自宅出産をする村で女性支援活動。母なる織物の挑戦 Du’Anyam, Hanna氏

2017.01.17公開
【社会起業家特集】インドネシアで深刻化するごみ。問題解決に取り組む社会的企業Greenerationに迫る ! 

2017.02.01公開
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2017.02.09公開
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2017.02.17公開
【社会起業家特集】インドネシアの木材の約70%は違法伐採。Telapakが地元住民と共に進める社会問題の解決とは?

2017.02.25公開
【社会起業家特集】「オーガニックの製品が作られるまでの物語を売る」  JAVARAオペレーションディレクター,Mohammad Suprapto氏

2017.03.02公開
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2017.03.16公開
【社会起業家特集】若者に希望と機会を。教育×マイクロファイナンスで自立支援をおこなう社会的企業,YCAB Foundationに迫る

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ABOUTこの記事をかいた人

井上良太

中央大学商学部経営学科卒業。大学2年の夏にカンボジアに訪れたことがきっかけでASEANや教育、国際協力に興味を抱くようになる。 3、4年次のゼミでは社会問題を事業で解決している社会的企業を専攻し、インドネシアの社会的企業とのネットワークを広げていた。 現在は株式会社パソナの社員として雇用を通じた社会貢献の方法を勉強中。 将来は国内外で社会的企業のプラットフォーム作りに関わりたいと考えている。