行動への興味を突き詰め、”Japan Quality”を世界へ届けるMarketerに 株式会社シー・コネクト Lee Xianjie氏

2016.11.11

ASEANに出ていく日本人も増えてきている中、シンガポールから日本にやってきて、現在は「人をつなげる」ということを軸にMarketerとして活躍するLee氏。日本社会への関心、人への関心をもち、さらにクリエイティブの分野でものづくりまでご自身でこなしているという。

なぜ今日本を選んだのか、ASEAN人材から見た日本の魅力を改めて伺ってみた。

【プロフィール|Lee Xianjie氏】

2009年、シンガポールのNgee Ann Polytechnic卒業。2010年にPR会社、Hachisuを創業。Fung Group,AIA Group,Keppel Corporationといったグローバルカンパニーに対して、マーケティング、デザイン、ライティングといった分野でPR支援を実施。同時に、書籍の出版やアドボカシー活動、プロダクトデザインといった幅広い活動も行う。2011年より並行してLianain Filmsに所属し、リサーチャーやカメラマン、プロデューサーとして従事。Al Jazeeraといったメディアへの画像、動画提供を行う。2012年より早稲田大学政治経済学部に入学、2016年9月卒業。同年10月より、株式会社シー・コネクトにMarketerとして入社し、越境ECにかかわるマーケティング業務に従事。

魅力的な日本商品を世界へ

━━ 現在の事業内容を教えてください。

シー・コネクトの中の「Ippin mall」のチームで働いています。シー・コネクトは『アジアNo.1の総合ECカンパニーを創る』ことを掲げているECカンパニーです。

Ippin mallとは、2016年10月にシー・コネクトがリリースした越境ECサービスです。日本から中国、アメリカ、東南アジアなど世界17ヶ国に向けて日本の商品を売っています。日本の商品とは”Made in Japan”だけにこだわらず、”Designed in Japan”、”Popular in Japan”の商品を含めた、”Japan Quality”として考えてください。その幅広い日本の商品を簡単に輸出するプラットフォームを創り出しています。

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参考:Ippin mallに出店して、海外販売を始めよう! | Ippin mall

参考:Japan Qualityを世界へ「Ippin mall」で申込から最短3日で海外販売可能に! | イノベーションズアイ(InnovationS-i)

今まで、日本では車など大きいものを輸出していましたが、現在は小規模なメーカーや日本の伝統ビジネスも充分海外で勝負できるのです。なぜなら、EC上では、例えば有名な大手メーカーの製品と、そうではないものも同じ棚に並べて工夫次第で同じように商品イメージを創ることができます。しかし、そのようなマーケティングまで売り手、つまり企業側がすべて行うのは難しいので、シー・コネクトでは、そのサポートをすることまでECカンパニーとして行なっています。

通常、ECというと、企業と消費者のプラットフォームと在庫管理のイメージがあるかと思いますが、シー・コネクトでは、商品のマーケティングからもちろん在庫管理、カスタマーサービスまで全て自社で持っていることで、サービスのスピードを早いままに顧客満足度を保つことができると考えています。

日本の商品を海外のお客様へ、というとイメージがしにくいかもしれません。扱っている商品の例を挙げると、例えば、鹿児島で作ったハラルラーメンをマレーシア、シンガポールといった海外のイスラム教徒に向けて輸出したり、炊飯器なども人気です。最近ですと、ジカウイルスの影響で日本製の虫よけも売れています。現地で売っているアメリカ製のものよりも安全で妊婦さんや赤ちゃんに使えるからですね。

━━ ご自身のMarketerとしてのお仕事内容を教えてください。

 SNSでのマーケティングを通して、お客様がどこの国から来ているのか、何をクリックしているのか、日本の商品は何が魅力的なのかを分析しているほか、商品紹介のビデオ作りもしています。例えば、「水点抹茶」という水出しの抹茶の動画。外国で抹茶というと、かなりフォーマルなイメージなんです。しかし、実際は水出しでOK、しかも家にあるミルクフォーマ―で簡単に日本のものの体験ができるよというイメージを伝えるために動画を作りました。

━━ なるほど。商品をいかに魅力的に売るか、ということを徹底されているのですね。では、シー・コネクトのどこに魅力を感じて働き始めたのですか?

面接のときに、「What will Ippin do?」と社長に聞きました。すると、「It will be the biggest EC company.」とすぐ答えてくれました。大企業だとすでに実績、特有の文化や慣習があると思うのですが、ここのような今伸びている、発展途上のベンチャーであれば、実績云々ではなくこれからやっていけること、変えていけることが沢山ありそうだと思ったからです。

また、社長自身がその3ヶ月前に日本語をまだ勉強中のトルコ人を採用したと聞いて。彼自身が自ら、直接そのトルコ人に英語でメッセージを書いたというエピソードから、本当に変化を求めているという気持ちを感じました。実際に、社員みんながそのようなマインドを持っていますし、主体的に変えていくというところに魅力を感じました。

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人間がどのような行動をするかを突き詰める

━━ それではそもそも日本にいらっしゃったきっかけを教えてください。

私が早稲田大学に入学したのが4年半前。友達が誘ってくれたゼミに一日だけ体験として参加させてもらったときに、中国人、韓国人、東南アジアからの人たちが混じって東アジアに問題を議論していたのがとても面白かったんです。それが特に印象的で、早稲田に留学することに決めて、日本に来ることになりました。

留学して1年がたった頃に、日本のビジネス以外のことにも興味を持ち始めました。例えば、日本のNGOやNPOについてです。日本のNGO、NPOは高齢者との関わり方が素晴らしいと思います。例えば、デイケアセンターでは高齢者が座っているだけではなく、いろいろな活動をしていますよね。他にもゼミなどで討論したり、興味を持って調べているうちに、日本にはトヨタなどの素晴らしい大企業も沢山ありますが、それだけではなく小規模な企業や組織でも素晴らしいものがあることを知りました。

 

━━ 最近国内外で日本の勢いが弱まっているとよく言われていますが、どう思いますか?

そうは思いません。確かに地方の過疎化であったり高齢化などが問題視されていますが、地方では沢山の面白いビジネスが創出されています。そのような小さめのビジネスを成長させるためには、サポートが必要なんです。しかし現状は国のサポートがまだまだ足りないと思っています。そこで、私はそのようなビジネスをサポートしたいと思うようになりました。すでに海外でも知られている大企業に対してEC上なら中小企業でも同じ土俵に立って戦える。小さめのビジネスをサポートできれば、地方の過疎化をはじめとする日本の諸問題への解決にもつながるのではないかと考えています。

また、日本の企業は海外から「物事を進めるのが遅い」という評価をしばしば受けますよね。それに対しても、実際は遅いと思いません。小さいこともしっかり詰めて考え、将来のリスク等までしっかり考えマネジメントしていると思います。リスクなどはとくに考慮して、細かく考えているので将来問題が起こったとしても、結果的には解決が早いのではないかと思います。

ビジネスの視点以外でいうならば、学生生活をしているときに若い日本人が新しいものを色々生み出しているのを見て面白いと思いました。これも日本に対するイメージが変わった一つの要因です。他にも、当時よく原発問題をはじめとする社会問題が話題になっていたのですが、問題に対するデモなどが起こされていることも新鮮でしたね。シンガポールに比べて日本人が日本を良くしたいという気持ちであったり、アイディアを出そうとする活動はすごく強いと感じました。

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━━ なるほど。日本にいらっしゃる前に、シンガポールで行なっていた前職についてもさかのぼってお聞きしたいです。

Lianain Filmsというドキュメンタリー制作会社に所属してAl Jazeeraというメディアからドキュメンタリー作りをアウトソースされて取材からもの書きまでを行っていました。

2011年に友達の母親がALSを発症したことがきっかけで、友達とALSや同じく脳に関係のある認知症について研究していました。その途中で認知症の方へのインタビューやドキュメンタリーを作った後、NPOやNGOからドキュメンタリー以外の映像や本を出してみないかという依頼を受けたことからHachisuを創業しました。この時に、カメラやほかのクリエイティブを1から勉強しましたね。

 

━━ Hachisuでのクリエイティブのお仕事と、今のMarketerとしてのお仕事は全く違うような気がするのですが、何かつながりはありますか?

どちらにも共通しているのは人間の行動そのものに興味があるということだと思います。例えば、認知症や脳の病気の人で、他者がその人が何をしているのか理解できなくても、本人には必ず行動の理由があります。そこが面白くて研究をしていたんです。そして今、Marketerとしては顧客がなぜこの商品を選ぶのか、何をクリックするのかという顧客の行動を分析しています。人間が何をやっているのか、どうしてその選択をするのかということへの興味が、2つの仕事に共通していると思います。

また、Hachisuで始めたドキュメンタリー制作などのクリエイティブ活動が、現在の商品説明の動画をはじめとするところに活かされていますね。

実際に飛び出してみることが大事!

━━ 現在まで考えていらっしゃることのベースは変わらないのですね。それでは、これから事業をどのようにしていきたいのか、またご自身の目標などをお聞かせください。

主に3つあります。

1つ目は現状ある物流の問題を解決すること。日本から海外への商品の発送をするために中国のサブフライヤーや物流会社に相談が必要であり現在進めています。今年、来年で解決させたいですね。

2つ目は、商品紹介のためのビデオを生み出し続けることです。どのようなビデオなら面白いかを考え、新しいものを創り続けたいと思っています。前職にてドキュメンタリーを作ったり、カメラマンとしてクリエイティブにも関わっていたので、活かしていきたいですね。

3つ目は日本語をもっと勉強することです。勉強し始めて4年くらい経ちますね。会社では書類が日本語であったり日本語で書かなければいけない作業もあります。チームのメンバーが多国籍なこともあり、今は同僚や先輩に助けてもらいながらやっていることもありますが、英語を使わずに日本語だけで説明できるようになりたいです。

━━ 最後に、海外と日本をつないで働きたいと思っている学生、若者にメッセージをお願いします!

行きたい!見てみたい!という気持ちを大事に、実際にその気持ちを行動に移してほしいです。いくら興味を持っていたとしても、その時に行動しないと一生やらないで終わってしまうと思います。

また、グローバルな環境を語るときに日本人の言語の壁について議論されることがありますね。英語をはじめとする言語は、とりあえず話してみればいいのではないかと思います。現地に行ってしまえば、やるしかないという気持ちになります。実際、私自身、早稲田大学在学中に半年間台湾に留学しました。留学する前は中国語を話すことはできても、書くことは完璧にできていたわけではありませんでした。しかし、台湾留学中は書かざるを得ないので、友達の助けなども借りて書くことも学びました。もし、台湾に行かずそのまま早稲田にいたら、中国語を完璧にできるようにならなくちゃという気持ちにはならなかったと思います。強制的にできるようにならなくてはいけない環境に身を置くことでモチベーションが湧くというのも大いにあります。

言語の壁など、不安になることは大抵行動すればなんとかなります。自分の興味を大事に、行動に移していきましょう。

━━ ありがとうございました!

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シー・コネクトで働きたい方へ

取材を引き受けていただいたLeeさん含め素敵なシー・コネクトメンバーと共に働きたい方は、以下よりお問い合わせください!

新卒、中途ともに随時募集中とのことです。

株式会社シー・コネクト 採用ページ

編集後記

アセナビでは、「ASEANで働くことを近くする」というビジョンから、ASEANに関わっていた・働いていた日本人の記事が多い。しかし、今回取材したLee氏はシンガポールからやってきて、日本で働いているということで、とても貴重なインタビューとなった。事業をやっていく中で日本の社会問題も解決していこうという考えが素晴らしいなと思ったし、まだまだASEANと関わるうえで、国内外関わらず知らなくてはならないことがたくさんあることを改めて実感した。

ABOUTこの記事をかいた人

田村 水咲

早稲田大学文学部2年。ASEANデビューは7歳で行ったシンガポールですが動物園で放し飼いのサルに襲われた以外あまり覚えていません。その後タイ料理を始めとするエスニック料理と文化が大好きになり、昨年念願の「タイでタイ料理を食べる」が実現しました。ASEANで活躍する学生や社会人の方と知り合い、お話が聞きたいと思いアセナビに入りました。これからASEAN×女性を盛り上げられるように頑張ります。