芯はぶれずに社会の変化についていく。セブでIT留学事業を展開する若き経営者 Kredo代表 横田猛夫氏

2016.10.10

フィリピン中部の都市、セブ。昨今のフィリピン留学ブームにより日本人向けの語学学校がひしめく、にぎやかな都市である。そんな都市で、ひたむきな教育への熱い情熱を持ち、ITと英語留学をかけあわせて事業を展開する、横田氏に取材をさせていただいた。アフリカで留学をし、セブ留学、インターン、正社員登用、そして起業。自らの “信条” に従って突き進んできた同氏に、教育へかける想い、原点となる “地方でやりたいこと” についてお聞きした。

〈プロフィール|横田猛夫氏〉
Kredo IT abroad CEO
2012年 国費にてマケレレ大学院(アフリカ)へ留学。その後、2013年 セブ島留学を経験し、QQEnglishへとインターンとして入社。のちに正社員となり、マネージャーへ昇格。2014年 同社でIT留学を立ち上げ、2016年8月Kredo IT abroadを開校。

ITと英語を学べる語学学校を経営!

kredo

—現在の事業を始めたきっかけを教えてください。

もともとQQイングリッシュというセブの語学学校で、ウェブチームのマネージャーとして働いていたんですね。そこでITと出会い、英語だけじゃなくてITを学べる環境も提供できたら世の中が良くなるんじゃないかと思い、最初は社内でIT留学を立ち上げました。

IT留学自体はセブに5社くらいあるんですけど、そこだとITを日本語で教えているんですよ。でも、英語を使って欧米人と働いている超優秀なフィリピン人のエンジニアがせっかくセブにいるんだから、その人たちを採用してカリキュラムを作ったらかなりいいんじゃないかと思い、独立しました。

現在は、4時間フィリピン人のエンジニアが英語でITを教えて、4時間QQイングリッシュと提携して英語を教えるという事業をしています。自社でもIT、ビジネス英語の授業を提供しています。

 

大学卒業後、ウガンダに留学、そしてセブへ

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—海外に目を向けられた経緯について教えてください。

大学生の時は公務員になろうと考えていました。ぼくらの世代って、東日本大震災とかリーマンショックとかで20歳前後の時期に今まであったものが一気に崩れる経験をして、それがきっかけで新しいことを始めた人っていっぱいいるんですよ。ぼくもその一人で。それまでは親の影響を受けて公務員、大企業は一生安泰みたいな考えで、普通に就活して大手企業に内定をいただいていました。

でも、内定後の研修からめちゃくちゃつまらなかったんです。良し悪しに関わらず、既存の規則から外れること自体が悪とされる状況で。それで日本の企業も違うなと思ったし、経済とかメディアとかそこらへんの仕組みもやばそうだし、海外しかないなと思って、言い方は悪いですけど世界一大変そうなところに行けば後々楽になるかなと考え、アフリカの大学院へ1年通うことを決めました。

向こうでは、いろんなスーパーマンに出会いました(笑)。例えば7か国語話せて世界中を旅行した後にアフリカで起業している女性とか、今まで会えなかったようなすごい人たちと出会え、ものすごくモチベートされました。こんな人がいるのかと、そしてその方たちはもちろんすごいひとなんですけど、同じ人間だし同じ場所にいるしぼくにもできるんじゃないかと (笑) 。

自分自身、アフリカの滞在で、行動力や情報収集能力が上がったし、もちろん勉強もしてすごい成長を実感できたんです。そこで「教育すごい!留学すごい!」ということを体験しました。こんなに世界が変わるんだと

それと、ぼくは鳥取出身なんですけど、日本の地方に問題意識を持っていました。鳥取の人たちって、ビックチャンスをつかむために東京とか大阪に行くんですね。でも幼稚園からエリート私立に行っているような、都会の地頭が良い人たちには情報処理能力とかでやっぱり勝てなくて軒並みやられていったんです。そこで挫折して夜の世界に入ったり、地元に戻って引きこもったり。

友達のそういう状況はもったいないし寂しいと思ったし、自分がそうだったように人生を変えるためには、東京や大阪じゃなくて海外に行けばいいんじゃないかと思うようになりました。

%e3%82%a2%e3%83%95%e3%83%aa%e3%82%abウガンダで友人と食事中

―なるほど。ではなぜ英語やセブ島に興味を持たれたのでしょうか?

アフリカで留学することのすごさ、英語の大事さに改めて気付き、日本の地方に英語の学校を作ったら面白いんじゃないかと思ったんですね。けれど日本人の英語力は既存の英語学習では伸びていないし普通の授業をやっても仕方ないなと思っていろいろ調べていた時にアウトプットの量が大切だということに気がつきました

僕自身日本でTOEICの勉強はしていたけれど全然しゃべれなかったんです。でもアフリカに行ってスピーキングはもちろん総合的に英語力が伸びたので、アウトプット中心のメソッドはないかなと考えて。

そこで見つけたのはカランメソッドという、イギリスで生まれた英語教授法でした。それうまくを使っていたのがセブ島にあるQQイングリッシュだったので、創業者の藤岡頼光さんにメールしてみました。しかし、反応をいただけなかったので、カランメソッドを盗むためにウガンダ留学終えて直接セブに行き、QQイングリッシュに留学しました。

セブ島に行ったとはいえ、頼光さんは忙しくて中々お会いできませんでした。しかし、来て1週間くらいでたまたまエレベータで一緒になったんです。そこで「メソッドを盗ませてください」と話したら「盗むなら隠れてやれ」といわれながらも、「おまえ、面白いから一緒に働こう」といっていただき、インターンとしてQQイングリッシュで働かせていただくことになりました。

 

―インターン時代はどのようなことをなさっていたんですか?

頼光さんのカバン持ちみたいな感じですね。徐々にいろいろなプロジェクトを任せていただいていたんですけど、その一つがQQEnglishの公式ウェブサイトを作るというものでした。当時QQイングリッシュにはフィリピン留学のウェブサイトがなかったんですね。ウェブサイトの作り方なんて全く分からなかったんですけどとにかくYESマインドで「やります!」と。

そこがITとの出会いのきっかけです。しばらくして、ITもこれから必要だなということで、ITと英語を教えるためのIT留学事業を始めました。けれど、頼光さんは当時ITにあまり興味がなかったし (笑) 、だったらQQイングリッシュは英語へフォーカスしたほうが良いなと思ったので、起業してIT留学事業を始めたんです。

%e6%8e%88%e6%a5%ad%e3%81%ae%e6%a7%98%e5%ad%90%e2%91%a0授業の様子

―英語とITを学べるIT留学に加え、他の事業もやられているのでしょうか?

はい、アプリ開発、ウェブサイトの運用、開発もやっています。その事業のひとつに業界特化形の英語学習アプリ開発をおこなわせていただいています。例えば、駅員さんが使う言葉を英語にしてリストアップし、頻出単語として集中的に学ぶ、といったようなアプリ開発です。これからは、それのIT版を作って、ITを学ぶことに関わる単語を学べるアプリをカリキュラムに導入できたら、と考えています。

 

留学を通して、世界が変わる体験をしてほしい

―フィリピンで働くということに対して、日本との違いとか魅力などあったら教えてください。

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セブで働いてみるともちろん大変なこともあるけれど、むしろ「日本とは違うということを前提に動いていなかったんだ」と学ぶことがありますね。あと東京はいずれ香港みたいになると思っていて。

例えば10年前とかそんなことなかったと思うんですけど、いまって日本でもコンビニとかの店員さんはほとんど外国人じゃないですか。香港もずいぶんと前からホテルの店員とか簡易なサービス業みたいなところはインド人とかそういう人達がやっているんですね。共通言語は全て英語で、英語の発音とか文化とかごちゃまぜでそれでもうまく共生している。グローバル化なんて目の前まで来ていてきっと避けられないことですよね。

そんな中で日本だけにいると、どんなタイミングで裏切られるような出来事が起こるかわからないし、未来のそのような変化への耐性もつかない。もちろん一気に社会が変化するなんてことはないと思うんですけど、違いを前提とした環境で仕事して、経験、耐性をつけている人は一歩リードですよね。海外で働くことはその経験を身につけられることが一つの魅力だと思います。

 

―それでは今の事業を今後どうしていきたいと思っていらっしゃいますか?

まずはシンプルに先生と生徒さんの数を増やすことですね。ぼく自身が留学やITを通して人生が変わったから、それを色々な人に経験してほしいと思っています。将来の夢もない、やりたいことなんてないという方でもITと英語スキルを身につけておけば代替も利くし、就職先もたくさんあると思うんです。

我々の会社の名前は「kredo」というんですけど、これは信条 (credo) と変わりゆくものの象徴である万華鏡 (kaleidoscopic) を合わせたものなんです。

自分、会社の信念、軸はぶれずに、変化の早いIT業界や社会環境に対応していこうという意味の社名です。アプリ開発もそうですが、環境や状況に応じていろいろと展開していこうと考えています。

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―ご自身の夢についてお聞かせください。

個人的な夢も、やっぱり教育なんですよ。大学4年間家庭教師をやっていて人にものを教えるのは好きでした。地方や地元に寺子屋みたいなものを作って、彼らが世界に羽ばたいてもらえるようなことをしたいですね。世界で展開して最終的に地方にそのノウハウなんかをもっていくことができればと思っています。

 

―海外へ羽ばたかなくても、適材適所というか、その人がいるべき場所があってそこで幸せを感じる人もいるんじゃないかと思うのですが、その点はどのように思われますか?

それは今幸せだから良いとは思いますが、未来に対しての視点が足りていないと思います。社会は変化し続けているので、現状維持をしていたら取り残されていくんじゃないですかね。若いうちは良くても将来的に必ず後悔するんじゃないかと。現に先ほども申し上げた代替可能な仕事なんかは、良い言い方じゃないですけれど低賃金の人がどんどんやっていますから。

 

―ありがとうございます。最後に、アフリカへ行かれる前のご自身、それは何か世の中に対して悶々としているような若者だと思うのですが、そういった人たちに向けてメッセージをお願いします!

自分も若者なので本当に恐縮ですが、人生は楽しい、ということを言いたいですね。

もし、ぼくが人生がつまらないと思ったら、大前研一さんがおっしゃっていたことで有名な「1. 時間、2. 周りの人、3. 場所」、このどれかを変えることを考えてみます。その中で一番変えやすいのが場所を変えることかなと。

今ならLCCもあるし東南アジアなんかには簡単に来られますよね。セブは日本から4時間半です。自分を変えたい、人生を楽しみたいならこれを変えてみることかなと思います。ちなみに留学はその全てを一度に変えることができます。

あと、インターンは搾取だみたいな話ありますよね。実際、セブでは毎日仕事仕事で、インターンしているときからも起業してからもめちゃくちゃに働いていますけれど、インターンだって働き方や意識次第で得られるものがとても大きく変わってくると思います。インターンは無給だし単純作業だからといってモチベーション低めで仕事に臨む人がいますが、どんな仕事でも一生懸命取り組めばその人を成長させるとても大きなものになると思っているんですよね、ぼくにとっての仕事がそうであったように。

 

〈取材後記〉

わたし自身が現在進行形で「悶々としている若者」の一人であるので横田さんの海外に出てモチベートされたというお話しはめちゃくちゃ心に響くものがあった。初めてメインインタビュアーとしてインタビューをさせていただきとても緊張したが、横田さんは終始軽快なトークで沢山のことを話してくださった。

 

ABOUTこの記事をかいた人

田村 水咲

早稲田大学文学部2年。ASEANデビューは7歳で行ったシンガポールですが動物園で放し飼いのサルに襲われた以外あまり覚えていません。その後タイ料理を始めとするエスニック料理と文化が大好きになり、昨年念願の「タイでタイ料理を食べる」が実現しました。ASEANで活躍する学生や社会人の方と知り合い、お話が聞きたいと思いアセナビに入りました。これからASEAN×女性を盛り上げられるように頑張ります。