【新卒特集】 「日本のために新しい取り組みをしたい」富士ゼロックス アジアパシフィック イノベーションオフィス 寺嶋 毅氏

2016.07.01

新しい環境で働けるチャンスは滅多にない、と考え新卒でシンガポールでの就職を選んだ寺嶋氏。ユニークな日系企業での仕事や、シンガポールでの生活を伺った。

《プロフィール|寺嶋毅氏》

1992年神奈川県横浜生まれ。英語が苦手だったことをきっかけに高校の頃に1年間アメリカに留学。2015年テンプル大学ジャパンキャンパス卒業。学生時代は学業と6社のインターンを掛け持つ大学生活を送る。大学卒業後は新卒で富士ゼロックス社に入社しシンガポールへ渡りイノベーションオフィスに参画。幼少期からスキーとボーイスカウトをしている。

自分が求めていたものがあったため海外へ

—なぜ大学を卒業してすぐ海外就職しようと思ったのですか?

もともとは日本である程度働いてから海外に行きたいと考えていました。

しかし偶然今の会社のことを知って、海外にある日系企業の新設部署で働いてみたいという気持ちが湧き、場所に関係なく自分がやりたいことに挑戦するチャンスのある現在の企業への就職を決めシンガポールに行くことを決めました。

私が参画する時期はまだ正式な部署でもなく、メンバーも数名程度でした。そのような新しい環境で働けるチャンスは滅多に無いと思ったのも、シンガポールへ来た理由です。

—日本で就職活動はされなかったのでしょうか?

しっかりしました。日系企業に入りたいと思っていたので、日本の就活スケジュールに沿って就職活動をし、日系の大手からベンチャー企業まで一通り受けました。

実は、最終的に大手自動車メーカーに行くつもりでした。しかしそうなると10年近く日本で働いて、その後海外に行くというステップを踏むことになり、それは本当に自分の人生に合っているのか迷いました。そのため自動車メーカーに入るより、新しい環境にチャンレンジしたいと思い飛び込みました。

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—海外で就職する際に、周りから反対などありましたか?

反対はありませんでした。唯一、両親が心配しましたね。「向こうに行ってどういう生活なの?」、「どういう仕事するの?」と結構聞かれました。

私が通っていたテンプル大学ジャパンキャンパスは日本にあるアメリカの大学だったので、両親はある程度「海外志向」への理解はありましたが、いきなりシンガポールへの方向転換だったので心配されました。でも「最終的な判断は自分でしなさい、自分の人生だから。」と言ってくれました。

友人からは「ヤバイ」の一言くらいしかなかったですね(笑)

 

—自分の中で葛藤はありましたか?

私が卒業した大学は、テンプル大学ジャパンキャンパスという米国フィラデルフィアにある州立総合大学の日本校で学生の約6割は外国人、教授も約7割が外国人で、授業は全て英語という環境でとてもグローバルでした。

しかし社会人になってからは迷いましたね。自分の人生はこれからどうなっていくのか、という気持ちもありました。不安というわけではありませんが、どうなるのか全然読めないなと、正直思っています。

13565410_120300000025503495_893526902_n大学時代の様子。写真提供:テンプル大学ジャパンキャンパス(@テンプル大学 コピー転機禁止)

日系企業の部署なのに唯一の日本人

—具体的な今のお仕事内容を教えていただいてもよろしいでしょうか?

メインの仕事は市場調査です。しかし新しい部署なので、マーケティング、広報、法務、予算管理、マネジメント層への報告など様々な仕事をします。本当に新しいことばかりで実際に進めてみないと分からないことも多く、様々なことを決める日々を送っています。

また、春から私が部署で唯一の日本人になるので、日本人として求められる仕事が増えてくると思います。日系企業ですが部署のメンバーが欧米スタイルの仕事の進め方で、大学の流れからして共感する部分が多いです。

 

—シンガポールでの生活を教えてください。

食事:

なんでも食べますね。ホーカーセンターやフードコート、レストランにも行きますし、普通にバーにも行きます。ローカルフードも好きです。ただ、辛いものがダメですね。シンガポールは辛い料理が多いですが(笑)

休日の過ごし方:

子供の頃から続けているボーイスカウト活動を、週末にシンガポールでも行っています。今はリーダーとして、活動内容を考えたり、事前の準備をしたり、当日の運営などもしています。最近も、小学校高学年から中学生30〜40人くらいの1泊2日のキャンプに同行しました。

あとは定期的に日本から来る友達と会ったり、ローカルの友達やシンガポールに住んでいる日本人たちと会ったりしています。

ビザ:

私はシンガポールに2015年の春に来たのですが、申請する時は何事もなくとれました。 シンガポール側の人事部の方が色々教えてくれて、必要書類を提出しました。

 

100%のうちの2,3%海外にいたって、どうってことない。

—海外就職して、よかったなと思う部分を教えてください。

海外市場のリアルな情報がわかり、欧米的な仕事の進め方を学べて、様々な経歴の人に会えることがすごく魅力的です。

シンガポールはアジアのハブなので、世界各国の企業と仕事をする機会がとても多く、新しいコミュニティを探すのも容易です。ビジネスイベントやカンファレンスに行けば、様々な国のビジネス事情を聞けます。

次に、欧米的な仕事のやり方が若いうちから身につくことも大きな魅力です。日本に居ると日本的な仕事のやり方は必ず身につくと思いますが、欧米的な仕事の進め方は必ず身につくわけではありません。

今の部署では、基本的に自分で仕事をやり通すことができるのが魅力です。また、年齢の上下関係が無いので上司にもハッキリと自分の意見を言えるし、違うと思うことは素直に言えます。

そして、色々な経歴を持った人と仕事をすることもできます。日本では生まれも育ちも学校も日本の人が多いですが、シンガポールでは必ずしもそうとは限りません。

私の部署ではイギリスの大学を卒業したシンガポール人や、10代でシンガポールに来た中国人などが働いており、特にシンガポールは様々な経歴を持った人がいると感じます。

13555496_120300000024827052_1899631271_o(イノベーションオフィスの仲間たちと。)

—逆に、新卒で海外に就職して苦労したことってありますか?

日本人の場合、日本で仕事をしてから赴任する人が多い会社なので、自分の会社の日本事情を知らないことに時々苦労します。例えば、様々な部署の役割や、その人の立場などがわからないので、スムーズに日本側と仕事を進められない場合があります。

また、日本側と海外側で異なる意見が出た場合、立場的に両者の板挟みになります。自分の所属するチームを理解したいですが、やはり日本人なので日本側への理解も求められます。新卒に限った話ではないですが、逆に新卒だからという理由で言い訳はできません。

 

—今後、描いているキャリアを教えてください。

基本的には「日本」に関連して働き続けたいと思っています。今はシンガポールにいますが、日本でも、他の国でも働きたいです。

ただ、シンガポールに行くことも予想していなかったため、自分の 日本のGDPが鈍化していることを見ると、新しいビジネスを創らないと日本の経済に貢献できない。それを考えると、やはり日系企業で新しいことにチャレンジしたいと思います。

 

—最後に新卒で海外に就職する学生、海外で就職したいが迷っている学生にメッセージをお願いします!

オススメできるとも言えるし、できないとも言える。ただ、全員が全員海外に行ける訳ではないから、チャンスがあるなら行って欲しいと思います。よく日本人は日本のコミュニティにいると思われがちですが、海外の人が思う固定概念を崩すキッカケにもなります。例え話しでよく言うのですが、スマホの充電が3%減ったって、「あっそう」って感じじゃないですか(笑)なので、人生の数パーセントでも海外に行けるのなら、ぜひチャレンジしてください!




ABOUTこの記事をかいた人

野中りさ

上智大学経済学部3年。現在シンガポールマネージメント大学に留学中。ASEANの国で暮らすのはもちろん、来るのも初めてだが様々な文化が入り混じり、到着した1日目から魅了される。この感動を多くの人に知ってもらいたいと思いアセナビに参加。ASEANのホットな情報をお届けします!