2016.10.27

『“ASEANで働く”を近くする』をうたって、アセナビで活動している私。
でも実は、海外で働くことすら想像できず、ハードルが高いと感じていました。目の前に迫る就活、そのレール上に“海外就職”を見出す人なんて、周りにそう多くないですよね。

しかし、アセナビの記事を読んでいると、ビジネスを生み出す、イケイケな男性のインタビューばかり!! まだまだ学生、かつ女の私には、どこか遠い世界のことのように思っていました。

でも、“ASEANで働く”=“ASEANでビジネスを起こす”だけではないはず! 憧れだった海外赴任で駐在員になった、勉強していたタイ語が活かせた、結婚して旦那さんの転勤で急に、気づいたらタイにいた!…など、まだまだ“ASEANで働く”ストーリーは身近に転がっているはずなのではないか?

そんな話をもっとアセナビで取り上げていきたい、まずは自分が聞いてみたい!と思い、自分と同じ“女性×タイ”のお話をたくさん集めてまいりました。

《プロフィール|坂本 彩さん》
2003年駿台ホテル観光&外語専門学校卒業。2003年神戸ベイシェラトンホテル入社。2005年シェラトングランデスクンビット(タイ)にてゲストリレーションズを勤めた後、2007年サイアムシティホテルの営業として転職。現在は富士ゼロックスタイランドで日系担当営業として勤務。

《プロフィール|白水千絵美さん》
2008年、宇都宮女子高校を経て、東京外国語大学タイ語専攻卒業。在学中、一年間タイ・カセサート大学に休学留学。新興国とのビジネス、タイとの繋がりを持てることを期待して2008年、いすゞ自動車(株)に入社。入社5年目の2012年から泰国いすゞ自動車へ出向中。

なぜタイに? 飛び出す第一歩目の理由が知りたい!

━━ こんにちは! 本日はよろしくお願いします。私がタイに来たきっかけは、留学先がタイに決まったからなのですが、お二人がタイに来た最初のきっかけは何だったのでしょうか?

〈坂本 彩:以下坂本〉
私がタイに来たのは、前職ホテルスタッフとして働いていたときです。幼いころから“ホテル”という場所が大好きでした。 中学生のときなんて、近くで結婚式があるとこっそり見に行っていたほど(笑)。 ずっと憧れの場所で、自分もその空間を創り出したいと思い、高校卒業後はホテル専門学校に通いました。そこでは海外研修制度があり、私の研修先は中国。それが私が初めて日本以外の“アジア”を知る体験になりました。

海外のホテルで働いてみたいと思っていましたが、新卒で2年ほど日本で働いていました。しかし、このままこの環境にいてはずっとここにいてしまう。海外へ出る覚悟ができなくなってしまう、と思ったんです。また、3年目として就活をし直し、タイに現地採用として勤めることにしました。日本を一度出ることができたら、その後タイから次のステップとして、他の国で働くのは難しくないと思っていたんです。結局、その後タイで結婚し、もうタイに住んで11年になるんですけどね(笑)

━━ 長い!(笑)人生何が起こるかわかりませんね…。千絵美さんも結婚されてるんですよね。

〈白水千絵美:以下白水〉
はい、私もバンコクで知り合った日本人の方と結婚しました。主人は現在フィリピンで働いているので遠距離新婚生活ですが(笑) 住む国は違うけれど、フィリピンは近いし、何とかなるものだなと思っています。

━━ 新婚で遠距離! でも、会うたび旅行みたいで楽しそうですね。では、千絵美さんがタイに来たきっかけは、結婚、とか!?

〈白水〉
いえ(笑)。私が初めて長期でタイに来たのは、大学時代です。在学中、タイのカセサート大学に1年間留学をしていました。日本の大学ではタイ語を専攻しながら、ゼミで環境経済学を学んでいたので、この分野をタイ語で学びたいという気持ちがあったんです。

留学先を検討している際、インターネットで他大の先輩が執筆された留学レポートを見つけました。林業の野での持続可能性をテーマにしているもので、こういう勉強がしたい!と思って。その先輩と同じ大学の友人がいたので、紹介をしてもらい、タイ側の担当教授に繋いで頂き、留学をすることが出来ました。その後日本で就職し、現在は駐在員といてタイに来ています。

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白水千絵美さんと社員さんの集合写真

━━ なるほど。でもお二人は今、最初とはちがうタイでの生き方をされてますね。彩さんはメーカーの営業ですし、千絵美さんは駐在として働いていらっしゃいます。変わるきっかけは何だったのでしょう?

〈坂本〉
 ホテルでの営業は、サービスをゼロから相談していきます。例えば結婚式なら、ゼロの空間に、お花はどうするとか、どんなシャンデリアにするか、とか。ゼロの空間から足して、創っていく。その空間が出来上がるまでが私たちの仕事なのです。それに対して、メーカーの営業はモノ・技術を売る仕事。売る営業スタイルもまったく違いますし、葛藤はありました。

でも、ホテルがないと私は何もできないのではないか?と思っていた部分もありましたし、加えて、その転職先である今の会社の、人の良さから、“ココなら染まってもいい”と思えたんです。30代直前でしたし、まだまだ変わる余地はあると思ったんです。

〈白水〉
私は上司や先輩の支援もあり、運良く、またタイに来る機会を得ることができました。飲み会でさり気なく、タイで働きたい気持ちを伝えてみたりすることはありましたが(笑)。
日本にいた頃、自分自身の視野が狭かったこともありますし、日本の仕事がオーガナイズされていたこともあって、仕事に慣れていくうちに、頭を絞ってアイディアをひねり出したり、必死になる感覚がなくなってきてしまったんですね。あるとき、自分が思い描く“働く”ことと、実態の自分が乖離しているような気がして、“働く”ってこういうことで良いのかな?”と自問自答するようになりました。そのときの感覚は、最近読んだLINEの森川亮さんの本(”シンプルに考える”)に共感できるところがあります。

「オリのなかで、飼育員の言うとおりにしていれば、毎日時間どおりにエサが与えられます。それは、とても安全でラクな人生かもしれない。だけど、自分が思うように生きることはできない。なにより、サバンナに放たれたとき、自分の力でエサを獲得できなくなってしまうのが怖い。」

赴任後は、穴があったら入りたいといつも思っていました(笑)。広い海の真ん中にポチャッと落ちたような感覚で、右も左も上も下もわからない。その上、業務の責任範囲が広がって、スピード感は何倍にもなって、1日に何度も大波に飲まれそうになる。そんな中で、日本人、タイ人、沢山の方に教えてもらいながら、少しずつ出来ることを増やしてきました。アセアンの仕事は、事業環境の変化が大きいこともあり、いつも新しいことに取り組んでいる感覚です。気が抜けませんが、それ以上の感動や楽しさがあります。サバンナで生きていくための逞しさは、少しついたと思います(笑)。

日本で働いてから海外で働くか、最初から海外で働くか迷われている方もいらっしゃると思います。私の場合、物の考え方、仕事への姿勢、資料のまとめ方などは、日本で学んだ部分が多く、タイで外国人として仕事をするに当たり、自分を助けてくれていると思います。

━━ 環境が変わることで、彩さんは人との出会いが広がってチャンスが広がって、千絵美さんは環境が変わって考え方が変わって… やはり付き合う人と環境は自分をつくるんですね。

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白水千絵美さん(右から2人目)と社員の方々。会社設立50周年パーティーにて。

海外就職、って大変そう。ネガティブなときはどう乗り越える?

━━ 私にとって初めての海外長期滞在で、英語がコンプレックスに感じたり頑張りたいと思ってもめげそうになったりします。お二人はネガティブになったときはありましたか? そのときどう思って乗り越えたんでしょうか?

〈白水〉
日々、そんな連続です(笑)。それでも自分のコンプレックスには向き合ってほしいです! 私も、自分の実力以上の仕事を目の前にして逃げたい気持ちと闘っている部分がありますが、壁が高いからこそ自分も成長できる、よりよくなれることを実感しています。 小さな目標、例えば毎日30分これをやるとか、を毎日積み上げていくと、自信もついて、気持ちも前向きになるのではないでしょうか。例え英語がうまく話せなくても、本当に頑張っていれば周りの人も応援してくれると思いますよ!

また、苦手を克服するばかりではなくて、強みを伸ばすことも大事だと思います。例えば永瀬さんなら、こうやって人に会って話を聞き出す力とか、それを強みにして磨いていくのも大切なことだと思います。

〈坂本〉
 私もめげそうになるときはありましたね。せっかくタイ語ができるようになったのに、次はまたゼロから他の分野の単語を学ばなきゃ話していることが理解できない、とか。でも、そういうときは、“自分はこれまで何とかやってきたな”と考えます。過去の歴史が自分を創っていると思うんですよね。

 “そのとき”を楽しまないと後悔します。私は、例えば20歳のときは25,26歳になったらどうなっているんだろう…、25歳のときは30歳になったら…、と未来のことばかりを考えていたんですよね。でもいくら考えても、結局後になって自分の糧になっていると感じることは、“そのとき”に必死に頑張っていた、目の前にあったことだったりするんです。

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 坂本彩さん(後列中央)と社員の方々

タイ女性特集、スタートダッシュを終えて

一度研修中にふれた“アジア”の空気に親しみを感じ、まずはキャリアの一歩目としてタイへ飛び出した彩さん。その地で、悩みながらも目の前にあることをこなし、たまに振り返ることが、新しい道が拓けるきっかけになるのかもしれません。ご結婚され、予想外にタイに長く住む、そんなことが女性だからこそ起こり得る。未来から逆算して、今やるべきことは何か? を考えることも大事だけど、その思考のせいで“今”何がしたいか? を見失ってしまいがち。目の前のことに向き合う覚悟と思い切りも、必要なのかもしれません。

 私にとってのタイでの“駐在”のイメージは、日本に比べてタイの物価が安いために、自分の時間をとってゆったり贅沢に暮らしている、という凝り固まったものでした。しかし、専門のタイ語を貫きバリバリ働く千絵美さんはそのイメージを良い意味でぶち壊してくれました。「汗だくになりながら、働いてるよ」。“働く”とはどういうことか? それを海外で実現するやりがいはどんなものなのか? 自分の知らない世界がまだまだ広すぎることに気付きました。(遠距離新婚生活もまだまだ聞きたい知りたい!)

(取材日時 : 2015年11月 )

 

 タイで働く女性特集、まだまだ続きます。次回は世界最大のネットワークをもつあの学生団体の代表に直撃! お楽しみに。