コンプレックスを強みに変えてくれたマレーシアでのボランティア活動に感謝。トビタテ!留学JAPAN2期生、橋本小夏さん

2016.08.09

「私の経験なんて参考にならないのでインタビュー記事になりません。」と取材を一度断るものの、「こんな普通の先輩でもトビタテ!留学JAPANに合格して留学できるんだ!」と思わせるロールモデルを紹介したいとお願いすると承諾してくださった橋本さん。インタビュー中は自分には理系の人と違って専門性がないということがコンプレックスだったと語っていた橋本さんですが、内定先ではコンプレックスが強みに変わるようです。そうなるまでのストーリーと、トビタテ!留学JAPANの本質的な魅力と意義に迫る!

《プロフィール|橋本小夏さん》

1995年大阪府生まれ。関西学院大学文学部文学言語学科英米文学英語学専修4年。大学1年時に英語の授業で “Half the Sky”を読んで国際協力に関心を持ち始め、バリ島の孤児院やスラムを見学するスタディー・ツアーに参加。短期では何もできないと痛感し、帰国後は関西学院大学の国際社会貢献活動に応募し、トビタテ!留学JAPAN2期生、新興国コースとして2015年4月から9月までマレーシア・ペラ州のUniversiti Tunku Abdul Rahman (UTAR)という中華系の大学でボランティア活動に従事。卒業後はシステム系の日本企業にSEとして勤務予定。

アウェイで辛いからこそ成長がある

—マレーシアでの活動内容を教えてください。

ペラ州カンパーという田舎にあるUniversiti Tunku Abdul Rahman (UTAR)という中華系の大学でのボランティアをしていました。主な仕事は3つありました。

まず平日は大学のリーダーシップやコミュニケーション能力を高めることを目的とした事務室での対応や、学生に日本語を教えていました。

土日には中華系の過疎化が進んでいる村を活性化させるという大学のプロジェクトをリーダーとして回していました。マレーシアという国を選んだのは、マレー系、中華系、インド系という3つの民族をまとめて知ることができるのと、経済的に豊かになってきている都会がある一方で、地方にはまだ途上国的な問題も残っているからです。

S__17940485(派遣先の事務室にて)

—なるほど、実は僕も1年の春休みにインドネシアで地域活性化をテーマにしたインターンに参加していましたよ!そのプロジェクトについて詳しく教えてください。

具体的には、村の特産品の情報をネットで発信したり、孤児院で英語を教えながら一緒に遊んだり、小学校へエンターテイメント的な出張授業をしていました。

というのもその村の小学校には日本でいう工作や体育のような副教科がなくて生徒たちが退屈していたのです。だから生徒たちが楽しめるような授業を企画して、現地大学生と共に運営しました。

S__17940484(出張授業の様子)

—その中で困難だったことはありましたか?

急に予定が変わったり、無茶振りが多かったことですかね。2時間英語の授業をしてくれと頼まれて準備していたのに、直前にやっぱり4時間してくれと言われたり、集会で突然スピーチを求められたり・・・

私は言われたことをきちんとしたい性格だったので、ストレスでしたね。

だから上司にそのようなことは事前にしっかり予告するようにお願いしたのですが、「そんな未来のことは自分にはわからない。」と開き直られてしまいました。

ただ、最初は嫌だったのですが、途中からはむしろ臨機応変に対応する力を身につけるチャンスだと考え直しました。マレーシアの人たちはそのように柔軟に対応する力を持っているので、尊敬するようになりました。

他にも、英語で日本語を教えている時に「っ」を説明するのが大変でした。今から考えるとどちらのも日本にいては気付けなかった貴重な経験です。

人生を変えた一冊の本

—そもそもなぜマレーシアでのそのような活動に興味を持ったのですか?

大学入学当初は、文学部英米科であることもありアメリカやイギリスへの交換留学に憧れていましたが、1年の秋学期に受けた英語の授業で “Half the Sky”という途上国での女性差別や、人身売買をテーマにした本を読んだのが原点です。

本の内容や、時々先生が見せてくれる動画があまりに衝撃的で、今世界で実際に起こっている問題を自分の目で見てみたいと思うようになっていました。

—その本は僕も同じ英語の先生のもとで同じ時期に読んでいましたよ!偶然ですね!その後はどうしたのですか?

ちょうどその頃に関西学院大学国際社会貢献活動というボランティアプログラムがあるのを知りました。そのプログラムでネパールへ行ってきた先輩のお話を聞いて、交換留学よりもかっこいいと思い、絶対にこのプログラムに参加すると決めました。

まずは途上国の様子を実際に見に行こうと思い、1年の春休みにバリ島の孤児院やゴミ山を見学する1週間のスタディー・ツアーに参加しました。

S__17940487(住み込み先の孤児院の子どもたちと)

華やかなイメージとはかけ離れたバリ島の裏側を知る

—そうなんですか!僕も同じタイミングでバリ島に遊びに行っていましたよ。すれ違っていたかも知れませんね。僕はバリ島には華やかな観光のイメージしかありませんが、実際はどうでしたか?

ただ衝撃を受けて、自分は無力だと痛感しました。スタツアなどで入場料を払うゴミ山見学はビジネスになっていて、私たちは衛生上の問題があるからとマスクを歩くんです。

一方で、見せ物にされた現地の人達は普通に生活をしながら、怖い目で睨んでくる・・・。自分は何様なんだろう、どんな顔をして彼らの目を見ればいいのだろう、と罪悪感、哀憫、正義感というような感情のどれでもあってどれでもないような、文字通り言葉に出来ない感情が溢れてきました。

一番衝撃だったのは、現地の人が自分の靴紐をゴミの靴紐と付け替えるという光景です。捨てられているゴミの靴紐の方が綺麗だから入れ替えているのです。

靴を捨てなのは観光客かも知れなくて、そうでなくても片やゴミと判断し、片や必要なものと判断しているこの差はなんなだろうと、人間の格差というものを身にしみて感じた瞬間でした。テレビや雑誌で見る華やかなバリ島とはかけ離れていましたね。やはり1週間の短期では何も現地に貢献できないと痛感し、もっと長期でいく必要があると思いました。

S__17940486(孤児院の食堂の様子)

 

目標達成のためには貪欲に努力するのみ

—なるほど、それからマレーシアへ渡航までのプロセスを教えてください。

バリ島から帰ってきた後はすぐにその国際社会貢献活動に申し込みました。2年の9月に学内選考に合格し、12月に受け入れ先に履歴書とエッセーを送って承諾をもらい、3年の春に渡航しました。

パソコンスキルが必要だと言われたのでMicrosoft Office Specialistの資格を取ったりホームページ作成の勉強をしたり、他にも日本語教育や国際協力に関する授業を受けていました。

常に理想を実現するための手段というか、ステップを貪欲に達成していきました。

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トビタテ!留学JAPANの本質に迫る

—橋本さんはトビタテ!留学JAPAN2期生でもありますよね。なぜトビタテ!を受けたのですか?

トビタテ!留学JAPANを知ったのは留学事務室の職員さんに教えて貰ったからです。奨学金を頂けるチャンスですし、留学計画書を書くことで渡航先で学びたいことや将来の夢を整理できると思い受けてみました。

—トビタテ!留学JAPANの事前研修と事後研修はどうでしたか?

事前研修は渡航前で、期待に胸を膨らませていたので普通に楽しかったのですが、事後研修では、かなり落ちこんでしまいました。

というのも、トビタテ!留学JAPANには理系・複合系コースがありますが、水の衛生問題を大学院で研究している先輩がバングラデシュでのインターン中に専門性を活かして貢献してきたという報告を聞いて、自分は文学部英米科でそんな社会で直接的に活かせる専門性もないし、自己成長のために行くようで、恥ずかしかったからです。

文学部の勉強は好きですが、直接的に社会に活かせるかというと疑問なので、今でも自分に専門性がないことがコンプレックスです。

 

—なるほど、それはトビタテ!留学JAPANで日本中の多様な学生と交流できたからこその悩みですね。

自分の大学という狭いコミュニティでは「トビタテ!に受かってすごい!」とか「ボランティアお疲れ様!」といった優しい言葉をかけてもらえるのですが、一歩外に出て日本中から集まってくるトビタテ生と話していると、自分よりすごい人ばかりで、引け目を感じてしまいました。

私と同じように国際協力に興味があるというトビタテ生は多いですが、私とはレベルが違いすぎてもう屈辱でした。まさに「上には上がいる」と痛感しました。

もちろん、比較したり優劣をつけるものではないですけどね。

でもこれこそがトビタテ!留学JAPANの魅力だと思います。奨学金よりもそのような気づきや、モチベーションを与え合える仲間がいることが最大の意義だと思います。

もしトビタテ!留学JAPANに応募しようと思っているけれど、自分には無理だと悩んでいる人がいれば、私のような普通の人もいるということを知ってもらって、思い切って挑戦してみれば案外なんとかなるということを伝えたいです。

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ついにコンプレックスが強みに変わる!

—最後に卒業後のビジョンを教えてください。

先ほどから繰り返しているように、「専門性」を身につけてから独立したいと思っているのでSEを目指しています、実は先日、システム系の日本企業にSEとして内定を頂きました。その内定先を選んだのは、CSRに注力していてかつITスキルゼロでも一から育ててくれるという点に魅力を感じたからです。

よく考えると、文学部英米科でITスキルなんてゼロの私に、給料をあげながら教育してくれるなんて、申し訳ないとさえ思います。

ただITをどう社会に活用させるかといった倫理面には文学部で勉強してきたことを活かして活躍したいです。文学部英米科という、今までは何に役立つのかわからなくてコンプレックスだった専攻を強みに変えて頑張ります。

次にIT系の人たちはあまり海外に行きたがらないそうなので、日本企業のASEAN進出時におけるシステム構築の仕事に携わることでマレーシアでの経験を活かしたいです。

 

ABOUTこの記事をかいた人

長田壮哉 / Masaya Osada

関西学院大学商学部ファイナンスコース5年目。ASEANデビューは高校1年の時に修学旅行で訪れたシンガポールとジョホールバル。大学1年の時に参加したインドネシアでのインターン中に「熱気」と「可能性」を感じ、その後はタイでのボランティアや、ASEANを周遊しながら現地でのインタビューを経験。さらには、ASEAN発足日である8月8日に生まれたということに運命を感じ、ASEANと日本を繋ぐ"Mr. ASEAN"になるべく、ASEAN10カ国を完全制覇。2016年7月~2017年5月にかけて、トビタテ!留学JAPAN4期生新興国コースとしてシンガポール国立大学での修行を終えたものの、2018年4月から再びシンガポールへ渡り外資系投資銀行に就職予定。将来の夢はアジア最強の名門大学を設立すること。一番好きな国は日本。