【新卒海外】「辺境の地に仕事を作りたい」 インパクトソーシング事業を経て転換期へ! ラストマイル代表 小林雄さん

新卒でカンボジアへと渡り、独立する前提で働かれていた小林さん。現在は当初の意志通り、不動産や建設、住宅メーカー向けのデジタルコンテンツをつくるスタートアップの代表を務められている。「辺境に仕事を作る」というビジョンに向け、今転換期を迎えているという。その熱い想いを伺った。

《プロフィール|小林雄さん》
1988年埼玉出身。2012年カンボジアの日系IT企業に就職し、雇用創出プロジェクトを推進。より直接的に田舎に社会的インパクトを残したいという想いで2015年退職。
デジタルワークを通して田舎に雇用を創出するインパクトソーシング事業を立ち上げる。
2016年、現在のビジネスモデルの限界を感じ方針を大きく転換。自社内で明確なサービスを展開すべくスタートアップを立ち上げ、不動産や住宅関連業界向けのデジタルコンテンツを現在開発中。創業期メンバー募集中。

 

旅人のブログを見て、カンボジアへ。独立する前提で働く 

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—学生時代から海外に行かれていたのでしょうか?

もともと一つのところにとどまっているのが嫌で、大学に入ってから、長期休暇の時間を使って毎回どこかに行っていました。関東の鴨川や、沖縄の島へ行ってアルバイトしたり、次の年にはアメリカに語学留学に行ったり。

でも初めての海外から帰ってきてそれだけでは物足りなくなり、大学4年次を休学したんです。理系の学部で地震防災を勉強していましたが、休学する時点でアウトローという扱いでしたね。

休学中は途上国に興味があり、外務省と内閣府の事業に参加していました。

外務省の事業はJENESYSという国際交流系の事業で、インドネシアに行きました。その後アフリカに行き、日本に帰ってきて今度は内閣府の事業である世界青年の船に参加したんです。オセアニアの方を回った後、帰国して復学しました。

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—日本で就職活動はされていましたか?

日本の就活はしていないですが、唯一の就活と言えるのが、旅人で情報をブログで発信していた方を見かけてコンタクトを取り、都内のカフェで話したことです。彼もカンボジアで起業するというお話を聞いたので僕も働かせてもらうことになりました。卒業する2ヶ月前くらいのことでしたね。カンボジアという国は、一回来たこともあるので最初の一歩として選びました。

その後ぼくがいざオフィスに行ったら、「本当に来たんだ!」と言われましたけどね。(笑)

ぼくは、日本で働けないと思って逃げてきた方。人の下で働けないから自分で事業を起こしたいと思ったのです。周りは大学院に進学する中、そのまま海外に行ったのは学年に一人くらいだと思いますね。

 

—カンボジアに飛び込み、就職されてからの具体的な仕事内容はどのようなものだったのでしょう?

僕が初日「これからよろしくお願いします」って言った瞬間に上司が日本に帰ってしまい、放置されてしまったのを覚えています。(笑)

ベンチャーなので、「自分の人件費くらいは自分で稼げよ」と言われました。最初は日銭を稼がなければならなかったので、雑務処理が多かったです。

アウトソーシング業界なので、日本にいる日系のお客さんから受注して、カンボジア人と一緒に処理し、カンボジア人ができないところは僕たち日本人がやっていました。日本で営業してとってきたものをこちらで処理するというかんじです。日本人はもう一人プログラマーの上司がいたのですが、ほぼ一人でなんでもやらなければならなかったので大変でした。

 

インパクトソーシングからの転換期へ

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ーその後、今の仕事を始められた経緯を教えてください。

勤めていた3年間は客観的に物事を見られる良い機会でしたし、カンボジアの移り変わりは早いということもあって、良い面悪い面、進出から撤退まで栄枯盛衰が一通り見たりもできたので、良い経験ができましたね。

最終的にやりたいこと、成し遂げたいことがはっきりしたタイミングで退職をして今の形になりました。

 

ー現在はどのようなことをやられているのでしょう?

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現在は日本とカンボジアの会社に属しながら、「ラストマイル」という不動産とか住宅メーカー向けのデジタルコンテンツをつくるスタートアップの代表をしています。

「辺境に仕事をつくる」というビジョンを持ち、インパクトソーシング事業をメインでやっていたのですが、最近少し方向転換しました。インパクトソーシングとは、途上国の貧困地域の雇用創出という社会的価値を生みながら、お客さんのコスト削減という面で経済的にも貢献する事業のことです。

「辺境に仕事をつくる」というビジョンは今でも変わらないのですが、過去にやってきたやり方では限界があると感じたのです。

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理由はいくつかあるんですが、1つ目はインパクトソーシングのビジネスモデルです。

インパクトソーシングをやる上で重要なのが、量が膨大で、簡単で、納期が長く利益がちゃんと出るってことなんですが、そんなうまい仕事は実際にあまりないです。 (笑)

アメリカの団体のように非営利でやるか、googleとか大企業と組んで大きな仕事を受注するか。とにかく簡単ではないです。

2つ目は、現在のカンボジアの田舎での事業があまりうまくいかなかったことがあります。今のままだとダメだと思ったので仕組みから変えていこうと思っています。

3つ目は、年末年始に行ってきたネパールの影響が強いです。向こうの山奥でネット環境を整えている起業家に会いに行ってきました。

会うことになったきっかけは、ネットで「6万人の人にインターネットを届けた男」っていうネパール人のドキュメンタリーの動画を見たことです。2002年までは、2日かけて毎日メールチェックをしていて、それを便利にするためにその山にネットを通した人なんです。

産業、学校、デザイン系の仕事を持ってこれたら良いという話をしていたので、連絡してみたら、すぐに返信がきて、本当につながっているんだ!と思って。

(その時のご経験をブログに書かれています。「ネパールの山奥でネットが使えるというので行ってきた」

僕の中の究極的なゴールがネパールの山奥に仕事を届けることなんですが、ああいう場所に仕事を持っていくためには今のやり方では到底無理だと感じました。

最終的にはアウトソーシングっていう受身のビジネス自体がダメだと、1周まわって元も子もない話になりました。

それで、カンボジアやネパールなどの地の利を生かしながら、日本含め世界にサービスを展開していった方が絶対面白いと思ったんですね。風下ビジネスではなくて、風上ビジネスをしていこうと、そういう考えでカンボジアでスタートアップを始めました。

具体的なサービス内容はまだ非公開なのですが、不動産、リフォーム、リノベーション関連の住宅業界向けのデジタルコンテンツをつくっています。

今度のビジネスモデルの場合は、途上国ならではの労働集約型ビジネスの強みが生かせて、かつ田舎や山奥でデータ処理をしても社内で柔軟に対応できるのでオフィスを設置しやすいです。

今って例えば、名刺のデータ化とかレシートのデータ化みたいなOCR系のサービスは意外と人力でやっていたりしますよね。ああいうサービスは機械が届かない領域を人力で補完することで付加価値が出てるのですが、発想としては似ていますね。

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ー今、転換期を迎えられているのですね!この取り組みは、ソーシャルビジネスに当たるのでしょうか?

ソーシャルビジネスという言葉に違和感があって。必然的にそうならなければいけないのに、無理やり名乗ってしまっているような気がするんです。僕はソーシャルビジネスとは言っていません。非営利をやりたくて営利活動をしているという面はあるのですが、ビジネスなので、そこに経済的な必然性がないとだめだなと。ビジネスの方が親和性が高いのでやっています。

 

予測できない、不安定な感じが好き

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—カンボジアでの生活について教えてください。

まず、カンボジアのビザは多分、世界一問題なく取得できます!

大学終わってからあらゆるものを捨ててきたつもりでしたが、以外と快適だったんです。どちらかというとカンボジア人と一緒にいたかったすし、給与面でも、僕とカンボジア人の水準の違いにも疑問でした。それでもローカルの同じような人と比べるともらっている。

最初はカンボジアっぽくなりたくて、同世代のカンボジア人の若者と一緒に住んでいました。そこは家賃30ドルで、6畳一間のところにみんなで住んでいましたね。そこからチャリンコで30分くらいこいで会社に行く、という生活をしていました。

いつも寝る前に財布と携帯を枕元に置いていたのですが、家に勝手に野良猫が入ってくるんですよ。ある日寝ていた時に、財布と携帯と時計の隣に違和感のあるものがあって、それがなんと猫の糞で。(笑)枕元に糞があったとか、そんな経験は今までないですよね!それが原因で、その家を出ました。

その後ゲストハウスに半年くらい住んで、今は2年ぐらいシェアハウスに住んでいます。

 

—海外就職して良かったこと、メリットはありますか?

僕の場合、日系企業で立ち上げに携わっていたので、起業前提で入った身としては良かったです。僕は安定志向じゃなくて、来月自分がなにやっているかわからないくらいの不安定な感じが好きですね。

あと、「日本で会えない人に会える」と昔は思っていました。でも今は、会おうと思ってないだけで、日本でも会えるのではないかと思うようになりました。確かに偶然会う確率はこちらの方が高い。ただ、今の時代本当に会いたい人がいたら、日本にいてもどこにいても会えると思います。

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—逆に苦労したことはありますか?

どっちに転ぶかわからない不安定なところは、デメリットになり得ます。

でも逆に言えば、あんまり固定概念 なくやれますね。また、当時は今よりもっと新卒でカンボジアに来る人が少なかった。だから同じ境遇の同期がいない中やっていかなければならないのはとても大変でした。

でも、今は比べる必要もないかなと思って開き直っています。

 

自分がどうしたいのか、それが一番大事!

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—描いている今後のキャリアについて教えてください。

カンボジアはきっかけでしかないので、海外へ広がる可能性はあります。どこに拡大していくかは未定なんですが、3年後ネパールで何かやっているかもしれないです。

会社の規模を大きくして、今いる子達がもっと活躍できるようになってほしいですね。プノンペンで500ドルというのは結構もらっている方なのですが、そういう500ドル人材をカンボジアの田舎に作れるようなシステムをしっかり作っていきたいです。

その人自身の向上心やスキルが報われるようにしていきたいですね。

 

—海外就職・起業に興味があるけれど、迷っている人に対してメッセージをお願いします。

僕は、就職活動もせずあんまり悩まないで来ましたが、僕が言ったことは鵜呑みにしないでほしいです。

いろいろな人の意見を聞きたくなってしまうと思いますが、そもそも自分が何をしたいのかという大前提がなければならないと思います。成功者の本を読んでも自分は成功しないのと一緒で、その人にとっての成功法が自分に最適かは分からない。

自分の場合は直感が大きいですね。僕は100パーセント運が良い人間だと自分で思っています。だから環境が悪くても、自分だったらいくらでも良くできるし、運もついている自信がありました。

行って何するか、自分が何をやるかが一番大事です。

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【編集後記】
小林さんへのインタビューは、ここまで色々な方のお話を聞き続けてきたからこそ、逆にだんだん分からなくなってきていた「自分が何をしたいのか」について、もう一度考える機会となった。それぞれの方に新卒海外就職のメリット・デメリットについて伺ってきたが、その人が人生で何を大切にするかによって、何をメリットとし何をデメリットとするのかさえ変わってくる。自分がどんな未来を望んでいて、どこにいて、何をしたいのか。それに尽きると、改めて思った。

ABOUTこの記事をかいた人

アセナビ編集部

「ASEANで働くを近くする」を理念に掲げ、ASEANで働いている日本人のインタビュー記事を発信しています!他にも、ASEANのカルチャーやトラベル情報も発信し、ASEANに行ってみたいと思ってもらえるように日々奮闘中です。ほぼ学生で運営しています。