2016.02.25

「日本と◯◯(国)をつなげる」そう語る人は多いが、ベトナムにおいてここまで多角的にひたむきにその言葉を実行している人はいるだろうか?IT・飲食・コンサル・不動産・お土産・文化事業などを幅広く手がけ、「ないものはつくればいい」と語るパワフルで器用な侍経営者に迫った。

《プロフィール|矢澤幸三郎氏》
1979年生まれ、東京都出身。
株式会社デジタルシップジャパン代表取締役。高校時代はモデル、大学時代は会員制BARをこなす。大学卒業と同時にイベント・広告会社を立ち上げ、楽天球団立ち上げにも関わる。現在はベトナム第三の都市ダナンにて、日本とベトナム、ダナンの架け橋になるべく、IT・飲食・コンサル・不動産・お土産・文化事業などを幅広くこなす。

わくわくするかどうかで仕事を決める

ーどうしてベトナムのダナンに来たんですか?

ベトナム人スタッフの実家のハチミツ農家に取材に行く同氏(自ら山奥までお土産となるものを探しにハチミツを採取。)

いくつか理由はあります。元々イベント制作や広告業をやっていたけれど、2011年に震災が起きてエンターテイメントの仕事を2ヶ月間自粛していました。その期間にスポーツ選手たちと被災地支援をしていて、これからの日本のありかたや今まで生きてきた価値観が変わって。

関連会社のITでホーチミンでオフショアしたのも、ベトナムに来るきっかけになっています。

あと、友だちが事故に遭って、一緒に仕事ができない状況になってしまったことも大きいですね。その仲間とベトナムで何かやろうと約束していたので、とりあえずベトナムに行ってみようと。

ベトナムに来てみて、ハノイ・ホーチミンは活気に溢れているけど、ガチャガチャしていて自分に合わない一方で、ダナンはこれから伸びると思えたんですよ。会社をつくったのはそれがきっかけですね。

ダナンには海があって、4,5年前に来たときはリゾートが開発されていく中で、ポテンシャルを感じてワクワクしたんです。わくわくするかどうかで仕事を決めるのが僕のコンセプトなので。

同じベトナムでもハノイやホーチミンは長期滞在の居心地がいい街ではないし、どうせ東京の雑踏から離れるなら、自然も豊かでバランスがとれているダナンがよかったんです。

ハワイアン料理店を営む同氏の兄と、ダナンのビーチにて(ハワイアン料理店を営む同氏の兄と、ダナンのビーチにて)

参照:2017年APEC開催地ダナン 観光地として人気なベトナム第3の都市に注目すべきワケ

ーダナン移住すると決めた時はかなりの覚悟が必要だったんじゃないですか?

大きかったのは家族の問題でした。下の子はまだ2歳だったし、極力家族と一緒に住みたかったので。でも人生は一度きりだし、覚悟を決める必要があるな、と。

でも、大学時代から兄のように慕ってたビズリーチの南社長に相談したら、怒られたんです。(笑)「お前が住んでなかったらそれだけ信用は少ないよ。ベトナムに行くなら覚悟を決めて、ベトナムのプロフェッショナルになれ。」って。僕は昔から色々なことに興味を持つタイプでした。怒られて悔しくて、その言葉を信じて良かったと今では思っています。

ベトナムでは不便なことも多いけど、絶対に必要なものはつくっていけばいい

特に飲食は一番重要で、和食・焼き肉・ラーメンを食べたかったから周りの人に頼んで、それぞれレストランをつくりました。これからは病院と学校もつくりたいです。

同氏が営む焼肉店、武士道レストラン(同氏が営む焼肉店、武士道レストラン

ー自分の生活のために何かをつくって、それを仕事にしている方は珍しいですね。

それができる環境はわくわくするんですよ。

 

ーそれらをつくっていく中で突き当たるダナンの課題はありますか?

いっぱいありますね。日本の常識がまったく通じません。建築一つでもイメージ通りのものは絶対にできない。現場でどんどん変わっていってしまうから、日本人の感覚だと「どうしてこんなに変えちゃうの?」となります。

でも、こちらが郷に従う側なので、ベトナム人たちの行動を読んで先回りするようにしています。その技術が身に付きましたね。

 

ー他に気をつけていることはありますか?

コミュニケーションが大事な国なので、ベトナム人の仕事仲間と飲みに行って信頼を生むことを意識しています。そうすると僕の性格も理解してくれるようになって、周りのスタッフたちが僕の考えを読んでくれたり、提案してくれたりしますね。

最初、飲食のスタッフたちは「なんで『ありがとうございます』って言うんですか?」という状態だったんだけど、今ではカスタマーサービスや料理の新しいメニューに指示を出さずとも、勝手に提案してくれるようになりました。成長を目の当たりにできていて、スタッフたちはみんな弟妹や子どもみたいな感覚ですね。

 

ー飲食もITもないものをつくる、自分が楽しいことが前提なんですね。

こっちに来るIT企業の人たちは、駐在でも経営者でもコストが安いことが理由で来て、コストが上がらないようにしている。それは企業努力としては必要なのかもしれないけど、僕やうちの会社は給料が上がるような仕事の取り方をするようにしています。

ベトナム人スタッフたちと一緒に育っていって、一緒に会社を盛り上げていきたい。自社のサービスを新しく始めて、みんながハッピーになって、スキルアップすることを目指しています。人材に満足できないなら、満足できるまで育てることが必要です。

スタッフたちとの集合写真(スタッフたちとの集合写真)

多岐に渡る事業展開。軸は「日本とベトナムの架け橋になる」という想い

ーそれでは、矢澤さんがされているIT・コンサル・不動産・飲食・お土産の魅力や理念などについてコメントして頂きたいです。まずはITについてお願いします。

IT企業の多くははこれからの時代、価格競争だけで言ったらカンボジアに行って、ミャンマーに行って、ということをずっと続けていくだけ。けれど、オフショアを長く続ける上では最強チームをつくることが重要です。多少単価が上がろうとも、安心して任せられるような人材教育をしていきたい。

今度ITスクールをつくる予定なのですが、それはこの街の人たちのスキルをボトムアップしたいからです。ITについては、今いる人材のレベルをあげることが自分たちの宿命だと考えています。

 

ーでは、ITで今一番注力している分野は何ですか?

ラボ型のオフショアですね。そのために、お客さんが安心して任せられる人材を集めています。

あと、これからはITスクールなどの人材教育。また、webデザインもやっています。さらに、スキルアップしたいならアプリやゲームなどもいいですね。ソーシャルゲーム作りたい人はいっぱいいるので、そういうコースもITスクールでゆくゆくつくっていきたいです。そうすると企業にとっても、人材を確保する上で有意義ですしね。

ITチームのベトナム人スタッフと(ITチームのベトナム人スタッフと)

ーでは、コンサルはどうですか?

ダナンが盛り上がるためには企業が来ることが前提にあります。

同業の競争相手が来ても、切磋琢磨していけばいい。ダナンはいい場所だから、知ってもらいたい。そして、ベトナム人たちに「日本っていいな」と思われるような企業に来てもらいたいです。

 

ー不動産はどうですか?

コンサルと同じ感覚ですね。東南アジアは地価が上がっているから、ベトナムのいい案件や物件を紹介して、やっぱりダナンに来るきっかけを作ってほしいですね。

いきなりダナンに会社をつくるのは難しく、何をしたらいいか、誰を飛ばしたらいいかが分かりません。でもマンションやビラを持っていれば、1年に1回は遊びに来ると思うんです。いない間は運用で貸していれば良い。いい物件を紹介して、投資でもありながら、自分たちがたまに遊びに来れる状態をつくってほしいですね。

 

ー不動産とコンサルは結びつくんですね。

うん。ダナンに来て、見て、好きになってほしいという気持ちでやっています。

ダナン投資セミナーにて講演中の同氏(ダナン投資セミナーにて講演中の同氏)

ー続いてお土産はどうですか?

お土産は飲食に似てますね。僕はこっちに来た時に美味しいレストランがないから、レストランをつくった。そして、日本に帰る時に買って帰りたいお土産もないんです。つくっちゃえばいいじゃないかと。(笑)

お土産は日本人がサポートしてつくっているから日本の良さとベトナムの良さを融合しなきゃいけない。日本にはキャラクター製作・味の繊細さ・包装・衛生など、いい点がいっぱいあります。お土産を買って帰りたくなるようなコンセプトづくりを1からやっています。

お土産はその国や街の広告塔になりますからね。日本人のためだけではなく、ダナンが広まっていくような商品をどんどんプロデュースしていきたいです。

お土産事業について、ベトナム国営テレビのインタビューを受ける同氏(お土産事業について、ベトナム国営テレビのインタビューを受ける同氏)

ーそれらの事業以外の展望はありますか?

文化事業として進めているのは、日本村ですね。EDO WONDERLAND 日光江戸村に協力してもらって、小さい江戸とか日本の歴史文化も含めてリトル東京・リトル江戸を打ち出して、忍者のショーや手打ちそばなんかがある。江戸時代をテーマに、EDO WONDERLAND 日光江戸村に協力してもらってつくっていきたいです。

そこでベトナム人の観光客や外国人観光客400万人に日本のよさを見てもらって、「ベトナムの次は日本に行こう」というインバウンドにつなげたいです。日本の文化はすごいし、おいしいものもいっぱいあるので、日本村は外国人観光客が日本に行くきっかけになる。日本はインバウンドに成功していない部分が多いので、これは海外でやるべき日本の対策だと思っています。

矢澤さん越日文化交流フェスティバル(ダナン越日文化交流フェスティバルにて、招致したプロレスのアナウンサーを務める同氏)

ー矢澤さんの軸はベトナム、ダナンと日本をつなげることで、それに色々な事業がかかわっているんですね!

日本とベトナムの架け橋になるというのが大きいです。

 

商業・工業・観光業のバランスがうまくとれている街、ダナンで働きたい人へ

ーでは、仕事でベトナム、ダナンへ来る人たちにメッセージをお願いします!

矢澤さんデスクにて

仕事をする上での立地条件と環境は業態によるけど、仕事する上でプライベートの環境は大事。

海外に来るのはハードルが高く、環境の変化で体調を崩したり、ストレスが溜まったりします。ダナンにはリゾートや海があって、コンパクトで空港からもアクセスがいい。商業・工業・観光業のバランスがうまくとれている街です。他の東南アジアの都市に比べても偏っていなくて、過ごしやすいからオススメですね。

あとは、人がいいことです。人が温厚で素朴で真面目だから治安がいい。あと大事なのが、いい意味で田舎なこと。田舎の人たちは悪いことを考えないです。この前はiPhoneをタクシーに忘れて戻って来るということがありましたからね。(笑)

あと、ベトナムの女性は美人が多いですよ。独身の方にもオススメです。(笑)アオザイ美女をみんなで見に来ませんか!

 

ーありがとうございます(笑)。では、東南アジアで働きたい若者にメッセージをお願いします。

やっぱり環境が大事だと思います。僕はインターンを何人もとっていて、インターンハウスをつくったのですが、うちのグループの他業種でも、それぞれが色々なところで活躍して家に持ち帰ってそれを共有できる環境があるのがいいですよね。安全性も高い。

なので、東南アジアで働くことを検討している人たちは学生でも社会人でも、短期間のトライアルでこの街に来られるシステムが必要だと感じています。就職だと重いかもしれないけど、インターンのシステムは今後就職したい人の中でもっと活用されるべきです。

とにかく、東南アジアで働きたい人たちは一回来た方がいいです!ダナンは9割の人が好きになる街なので。

どんな形でも来て、自分の目で見て、肌で感じる。それでジャッジすればいい。海外で働く上では、生活リズムなどで大変なことも多いので、そこに慣れるためにとりあえず来るのがいい。

同氏とインターン生など(矢澤氏とインターン生たち)

参照:1ヶ月でも自分が変わる!ベトナムのダナンでインターンを経験した女子学生3名の対談インタビュー

 

ーなるほど。自分で体験することが大事なんですね。

ダナンが持つ環境やわくわく感は、他の都市と比べて負けません。

マーケット規模はそこまで大きくないけど、それ以外にも可能性を感じられる場所がいくつあるかということも大事なんです。

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