【新卒海外】「沖縄の経済を活性化させたい」ホーチミンのITベンチャーで働く 中村夕夏さん

2016.02.21

沖縄県のジョブチャレンジ制度を使い、大学4年の時にベトナムでのインターンを経験された中村さん。そのままベトナムで就職活動をし、現在社会人1年目として奮闘している。海外でどのように就職活動を行ったのかということから、故郷沖縄への想いまで、お話を伺った。

《プロフィール|中村夕夏さん》
1991年生まれ、沖縄県出身。大学在学中に県の制度を利用し海外インターンに参加。その経験から、海外就職を決意する。現在ベトナムにある日系ITベンチャー企業EVOLABLE ASIA Co., Ltdに入社し、ラボ担当ジュニアマネージャーとして日々奮闘中。

在学中、ベトナムでのインターンを経験。そのままベトナムで就職活動へ。

写真②社員旅行㈪

—なぜ海外就職をしようと思ったのですか?そのきっかけを教えてください。

在学中に「大学を卒業したらワーキングホリデーを利用して海外で働いてみたい」と思っていて、お金を貯めていました。すると大学4年の夏休みに、母が沖縄県のジョブチャレンジ制度のことを勧めてくれたんです。

当時東南アジアには興味がありませんでしたが、ワーキングホリデーはあくまで”ホリデー”なので、就職につながるインターンシップを選び申し込みました。

ジョブチャレンジでは、ワークパーミット (労働許可証) が取りやすいベトナムを勧められました。ベトナムで経験を積めば、他の国に就職できる可能性も広がる。3ヶ月のインターンだから嫌なら戻って来ればいいし、若いんだから挑戦してみなよ、と背中を押してもらい、ベトナムに決めました。大学4年生の後期に3ヶ月間です。

インターンは人材会社で日系企業への営業を行い、毎日数十件テレアポをしていました。ガチャ切りされることも多く辛くて心が折れそうでしたが、上司に「できないんじゃなくて、どうやったらできるのかを分析しないといけないよ。自分で考えてやってみる。それが仕事だから。」と言われ、何度もサポートしてもらいました。

辛かったですが、私のアポで案件が取れた時はとても嬉しかったです!3ヶ月が長く感じられるほど、充実していましたね。

 

—インターンが終わった後、そのままベトナムで就職活動をされたのですか?

はい。ベトナム自体がすごく好きになって ! 地元の沖縄と気候も似ていますしご飯もおいしかったし、自分に合っている感じがしました。あまりストレスを感じず、「これは海外に住めるわ!」と思いましたね。

日本に一度就職するかどうかは迷いましたが、若いうちになんでもやった方がいいと考えていたので、ベトナムでの就職活動を決意。インターンをしながら、色々な会社に電話をして、訪問して説明を受けるということを繰り返しました。営業をしている中ですでに人脈はできていて、色々と情報を教えてもらいましたね。

今の会社もそういったつながりから教えていただいて。そこで会社の説明をしてくれた女性に一目惚れしてしまったんです!岩淵さんという方で、美人でバリバリのキャリアウーマンでめちゃくちゃかっこよくて。一瞬で、この方と働きたい!って思ったんです。

(参照)若くして海外に出ることは、自分の市場価値を上げる。ベトナムから帰国して人材会社の立ち上げを行う、株式会社エバディ岩淵由香理氏

その後すぐに履歴書を送り、日本に帰る前日に面接をしていただけることになりました。その日のうちにすぐ社長面接になり、ベトナムが好きで、色々な経験を積みたいということと、岩淵さんと一緒に働きたいということを話しました。そうしたらその場で、「じゃあ一緒に頑張っていきましょう」と言われ内定が決まったんです。予想以上にあっけなく決まって、この会社に何かの縁があったのかなと思っています。

その後一旦帰国、卒業して4月に入社しました。

 

ー他の会社も見ましたか?

10社近く周りました。「海外で働くって甘くみてない?」など、厳しいことを言われることもありましたね。

日本で働くより覚悟のいることだし、日本人代表としてベトナムに、会社に貢献できるの?」と詰められたり、「即戦力が欲しいから、新卒はいらない。育てる余裕もない。」と言われたりすることもありました。結果としては、弊社と他1社だけ内定を頂いていました。

 

人が目の前で喜んでくれることが、何よりも嬉しい。入社して4ヶ月で、イベントの運営を担当。

—入社後、どのようなお仕事をされていたのでしょうか。

写真④Kickoff㈪(Kick off イベントの様子)

入って半年間は、顧客サービス部門(現:マーケティング部門)で、社内イベントの企画、Facebookの運用、ブログの更新、社内システムの運用などを行っていました。

印象に残っているのは、Kick offイベントです。このイベントは四半期ごとに催され、目標の再確認と社内のモチベーション向上を目的としています。前期の振り返りと、次期の目標設定、さらには社内MVPの表彰なども行います。お客様も招きホテルの宴会場、クラブを貸し切るなどして盛大に行われます!

入社して4ヶ月目に、このイベントを私の主導でやることになったんです。2ヶ月前から準備に取り掛かるのですが、ベトナム人社員や他部署の方々の協力が必要な部分が多く、依頼の仕方にとても苦労しましたね…。

写真⑤Kickoff㈫

でも、結果的に大成功することができたんですよ!終わった時は感極まって泣いてしまったくらい…。それがマーケティング部での一番の思い出ですね。

ベトナム人社員がすごく喜んでいるのを見ると、自分もすごく嬉しいんです。私たちはあくまでバックオフィスなので会社にとってコストでしかなく、ラボで働くベトナム人エンジニアがお客様の求めるプロダクトを開発して初めて会社の収益となります。内部から会社を盛り上げて、彼らを満足させるぞ!と思っていました。

写真③Kickoff㈰

 

福利厚生で帰国手当、アパートメントは月230ドル。ベトナムでのワークとライフとは ?

写真⑥社員旅行㈰

—現在の仕事内容を教えてください。

そのあと、異動の指令が出たんです。現在はラボ事業部のラボ担当ジュニアマネージャーとして働かせて頂いています。

まずオフショア開発とは、ソフトウェア開発やWebシステム開発、スマホアプリ開発などを海外の開発会社にアウトソースすることで開発コストを削減する、という開発手法です。弊社はラボ型オフショア開発といって、各会社ごとにラボと呼ばれるチームのようなものがいくつかあります。

(参照)「機会平等が果たされていない社会を変える」ベトナムから新興国に変革を起こす Evolable Asia Co.,Ltd. 代表 薛悠司氏

今の部署は、ラボ運営の手助けや、お客様・メンバーのサポートをする仕事です。具体的には、ラボ運営の課題解決、増員のご依頼時の面接設定、立会い、メンバーとの定期的な個人面談など。

私が初めての新卒採用なので、新卒の同期はいません。でも、一人だから、むしろいろいろな部署の先輩方がサポートしてくれています。

写真⑦チームビルディング㈪(担当ラボのチームビルディングイベントの様子)

—ベトナムでの生活事情(お金、家、休日、ビザ)について教えてください。

写真9社員インタビュー(同期と企画した社員インタビューの様子)

給与は日本に比べると低いですが、物価も安いですし、私自身の物欲が減ったこともあり、実際貯金はできていますね。

また、新卒で若いというのが私の武器で、色々な人にご飯や旅行に連れていってもらっています。(笑) 年上の方々と話すのはとても勉強になります!

家は自分で探しました。月に230ドルのサービスアパートメントで、洗濯とお掃除もついています。部屋が常にきれいなので、仕事に集中できますね。

有給はとりやすく、福利厚生として年に一回帰国手当というのも出ています。他の社員の方も半年に1回は帰っていますし、私は2 月のテト (旧正月) の時期に日本に帰ろうと思っています。(編集部注:2015年12月取材)

また、格安で旅行することができるのもベトナムの魅力です。

ダナンやホイアンなど、国内旅行も行きましたし、週末にカンボジアに陸路で行ったこともありますね。

ワークパミット(労働許可証)の取得は比較的スムーズにいきました。4月に会社に入って、2ヵ月後には取れていましたね。無犯罪証明書と卒業証明書だけ提出して、あとはベトナム人の人事の方がやってくれました。ベトナムって、法律がころころ変わるので、政府関係や手続き関係のことに振り回されるんですよね。サポートがなく、自分でビザをとらなければいけない日本の会社もあるので、そこは気をつけた方がいいですね。私の場合は海外傷害保険も会社が負担してくれています。

 

新卒から、対外国人でリーダーとしてプロジェクトを任される。

写真10ジョブフェア㈪

—新卒で海外就職して良かったと思うことはありますか?

すぐプロジェクトを任せてもらえることです。

弊社独自の評価システムがあったのですが、入社当初は一部の人にしか使われていなかったので、入社して2、3週間目で、「自分でどうにかして考えてこれを活性化して」と言われたんです!

ベトナム人スタッフとすぐにチームを組んで、ミーティングをたくさんやりました。チーム内でも意見が割れ、年齢やキャリア的にも下の私がチームを引っ張っていかなければいけないのはとても大変で。でも、対外国人でリーダーとしてプロジェクトを任せてもらえるという経験は、日本の新卒じゃできなかったと思います。

また、ベトナム人との付き合い方はものすごく勉強できます。日本人としてベトナムで働く意味はちゃんとあって、日本人ならではの文化や、ビジネスマナーをベトナム人に教えなければいけません。

担当ラボのチームビルディングの一環としてグループディスカッションを私主導でさせてもらっていて、ベトナム人メンバーは「日本人ってこんなことまで考えているんだ!」と驚いていますね。メンバーは必死で、日本人の考え方についてこようとしています。

ベトナム人社員も勉強したくて来ているので、私が日本人としての価値を出せないと、意味がない。まだまだ社会人としての経験は足りませんが、メンバーに教えることで一番自分のためになっています!

写真⑧チームビルディング㈬

—逆に苦労したことはありますか?

国内就職も同じかもしれませんが、自分から積極的に質問や提案をしないと進まないですし、周りに追い越されていきます。

ただ私が戦う相手は、社内の誰かではなく海外で同じように新卒で働く方々なんです。どのような学歴なのかは関係なく、同じ“新卒”として比較されることが多々ありますね。

 

物凄いスピードで発展するベトナムで奮闘。将来は、沖縄の経済を活性化させたい!

写真12(沖縄ジョブチャレンジの同期メンバーと)

—描いている今後のキャリアについて教えてください。

まずは一人前の社会人になり、会社に貢献できる人材になることを目標にしています。3年後は、他の国に挑戦したいですね。もっと色々なことを知りたいし、勉強したいので、すぐに日本に帰ることはないと思います。

将来的には、沖縄県の経済を活性化させたいです。生まれ育った沖縄が本当に好きなんですが、経済的には良くない現状があって。沖縄の経済活性化の為に雇用をもっと促進させたいと考えています。沖縄県には価値の高い観光資源が豊富ですが、それ以外にもニアショア開発として注目されつつあり、IT産業にも県を挙げて力を入れています。

今後の経験を通して、今の沖縄に何が必要で、何が求められているのか、そして私に何ができるのかを考え、10年以内には沖縄県で事業を起こしたいと考えています。

人生って何が起こるかわからない。そもそも海外就職も予定に入っていなかったですし。一度きりの人生、後悔しないで楽しみたいです!いつか同年代の友達に会って、私の方がキャリア積んでるな、と思えるようになりたいです。(笑) 

 

—海外就職に興味があるけれど、迷っている人に向けてメッセージをお願いします。

私はよく「パッションだけは人一倍だね!」と言われるほど、積極的に動いて人生とことん楽しみたいと思っています。

大学卒業後すぐに海外就職をするのはとても悩みましたが、毎日充実した社会人生活にベトナムを選んで本当によかったと思っています。悩むなら、フットワークが軽いうちにまず来てみましょう!

ベトナムは物凄いスピードで発展しています。日本にいる1、2年と、ベトナムにいる1、2年は、全く違う。国が豊かになって、潤ってきているのが目に見えてわかるんです。

国の成長という貴重な瞬間を身近に感じることができるのは、現地で働いている方の特権ではないでしょうか。

EVA 中村さん

【編集後記】
「パッションは人一倍」という言葉そのままに、エネルギッシュで笑顔が素敵な中村さん。社会人1年目として様々な苦労がありながらも、いきいきと働かれている。ベトナムが経済成長著しいということはよく聞くが、私はあまりイメージが湧いていなかった。でも、百聞は一見に如かず。実際にベトナムにいると本当に国が成長している、そのパワーを肌で感じる。そしてその中で一緒に成長するように働くことに、とても魅力を感じた。

 

ABOUTこの記事をかいた人

山村 あおい

法政大学国際文化学部4年。2014年に休学、フィリピンのNPOとマレーシアのwebメディア企業にてインターンシップを経験。2015年12月、1ヶ月間でASEAN6カ国を回り、新卒で海外就職・起業をした日本人26名にインタビューを実行。新卒での海外就職を決意し、現在ASEANで絶賛求職中!